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[ネタバレしかない] ファミレスを享受せよ 感想

プラットフォーム:Steam
リリース:2023年8月1日
値段:1500円
プレイ時間:実績1つ残してほぼ完全クリアまで3.9時間。

・ファミレスを享受せよ

リリース時にちょっと気になったまま、周りの称賛がちょくちょく聞こえてきてずっと気になっていたタイトルを満を持して遊んだ。

まずタイトルで惹かれる。

一瞬ネタゲーのように見える「ファミレス」という単語に、急に真面目な「享受せよ」で、なにか奥深さを感じる。

青と黄色と黒だけの色使い、パースが地味に歪んだシンプルなペン画のイラスト。
これは… なんか気になる…

そしてゲームを始めたらいきなりのシンプル過ぎるUI。これは… 色んな意味でヤバいゲームだ。

と、ちょっと不安になりながらゲームを始めたら、エモい音楽が流れ、気になるメッセージが流れ、丸い月、そして「ファミレスを享受せよ」というタイトルバーン。

これはもう約束された名作ですわ。

で、享受した。とても。

最初に感じたエモさが最初から最後までノンストップで続く。やってることは狭い部屋でキャラクターたちと話しているだけなのに!

出てくるキャラクターは全て良い。

荒唐無稽に思えた展開にもきちんと伏線があり、きちんと回収される。

詰まる要素なさそうと思いきや思いっきり詰まったものの、全てがスッキリと終わり、読後感が凄まじい。放心する。

ということで、

もしまだゲームを遊んでいないままこれを読んでしまっている人がいたなら、是非是非是非先に遊んでみることをオススメする。
なあに、自分は4時間くらいかけてしまったが、普通にクリアするだけなら2時間くらいだ。
Steamだけじゃなく、Switchでも売っている。すぐ遊べるぞ。

なあ君、ファミレスを享受せよを享受せよ。
月は満ちていないかもしれないしドリンクバーもないが、
せっかくこんなにいいゲームがあるんだ。






…遊んだ?じゃあ、以下ネタバレゾーン突入


・キャラクター

全員良い。ムーンパレスで数千年、数万年過ごして倦んだというのはあるだろうが、どのキャラクターも淡々としており、いい意味で盛り上がりも感情の起伏もない。会話も起承転結なかったりして、とにかくみんなそこそこ面白い雑談を延々としてくれる。

全員良い人過ぎるというのがまたすごい。悪人がいない世界、良い…
プレイした人全員、「このキャラクター苦手だった」みたいなことならなさそう。

・王様

「王である」のあとに「よろしくな」が来る時点でいい人じゃないわけがない

ものすごく良い人。王様なのに。偉そうなところが一切ない。人の話をしっかり聞いてくれるし、聞いたことは全て答えてくれる。周りの人への思いやりもあり、賢王すぎる。しかもストーリーのキーパーソン過ぎる。

誰かが吐き出した薬を飲んでくれる優しさを超えた人間。
プレイした人がみんな「キャラクター全員良かったけど、強いて挙げるなら…王様かな」ってなりそう。

・セロニカ

探偵というかヒントマンというか

紅一点ならぬ…逆の、なんていうのか知らないが唯一の男性。でも何が起きるわけではない。恋愛要素は皆無で安心。

とにかく頭が良い。ツェネズの部屋のボタンを押すときのパズルは、設定も解き方も丸ごと説明してくれる頭の良さと優しさ。
詰まったときのサポートどころか、詰まる前から答えをくれちゃうことが多い。

安楽椅子探偵感がある。と思いきや巨大な秘密も持っていて、更にそれをエンディング1でぶっこんでくる罪なお方。

・ガラスパン

名言製造機

なあ君、ファミレスを享受せよ、とタイトル回収してくれる、独特な話し方をするように見えて、実はほぼ最初からいるからひとしきりやることをやってしまって擦り切れた結果こうなっている。
でも「こわっ」「眩しっ」「ひえ〜」などのシンプル極まりないコメントをしてくれて癒やされる。
彼女だけは謎解きやストーリーにほぼ関わらないが、それでも必要不可欠な人材。

・ツェネズ

衝撃の出会い。主人公の落ち着き具合がすごい

怯えてるから何かの秘密があるんだろうグフフと思ってたらそんなこともなく、単にそういう性格なだけだった。ある意味一番人間より人間性を出している。

月の民113人、同じ長さの時を生きているのなら、全員既に達観しているのかと思いきやそうでもないのだろうか。
もしかしてツェネズは割と最近自我を持ったとか?でも番号としては20番代だったので、月の民の自我を持つ順番に幅があったとしても割と序盤。

だから、おそらく最初から今までずっと自信がない性格で、今回のミッションでとうとう変わろうと決意したわけだ。偉い。かわいい。がんばれ。

・クライン

直接話すのは記憶の中の彼女だけ

本人の会話は回想以外ではほぼ起きないが、とにかくこの人がいなかったらこの話がそもそも始まってなかったんだろうな。

一人の天才が月の民の文化を変えた。でもそんな天才が人間に入れ込んでしまってこんなことに。
でもそれがなかったら王様はムーンパレスに来なくて、四人は「終わり」までずっと待つだけになってたのか。

・46番

地味に重要人物、しかも明らかに性格が良い。上司にしたい月の民ナンバーワン。

・主人公

ある意味一番おかしい。自分のことは語らないまま、ひたすらに他の4人に話題を振りまくる。君がフィクサーか?それとも92番か?それとも…?と、なにか裏がありそうな気配をずっと出しておいて、謎が解けていくたびにどんどん実はただの人間であるということがわかってきて、通常なら安心するはずなのに逆に怖くなるという新しい展開。

特に謎解きに関係しないタイミングでふと性別が判明し、最後の最後で突然名前がわかる。でも特に何もない。

・ストーリーとゲームプレイ

・不条理系?

最初はとにかく当惑する。

突然ファミレスからファミレスにワープさせられ、行動範囲はものすごく狭い。

他の客もいるからその人達と話すが、グラフィック的には微動だにせず、できることは見たことがないドリンクしかないドリンクバーを飲む(しかも何も起きない)ことと、話題を選んで客と会話し、たまに手に入る新しい話題で更に会話する、だけ!

そんな明らかに異常な環境なのに、主人公含め誰もものすごく落ち着いている。

一番落ち着いていないのは、明らかに怪しくてなにかを知ってそうなツェネズだけ。

話題がなくなったら自分の席に戻り、「話すことがない」とかの、話題かそれ?みたいな話題を引っ提げて会話を続ける。

会話の中で、主人公も王様も女性だったということもわかる。
なぜかこういう、顔が見えない、自分からほとんど喋れない主人公は男性だと思ってしまうな。

うーむ、これは、理不尽系ストーリーなのか?明らかに異世界な上に王様というキャラはどうやら昔の人らしいし、ファミレス自体も宇宙空間というか異空間にあるっぽいし、月は見えるけどなんか知っている月ではなさそうだし… 謎SF…

しかも時間つぶし用にツェネズにもらった間違い探しを解いていくと、突然、精神がおかしくなってしまった人の文章が自動で流れていく!こわいこわいこわい。頑張って読んでいくと、どうも間違い探しで出てきた絵柄と関連しているように思える。話も辻褄が合ってなさそうでいて、所々現実味がある。しかも人間も出てくる。

こわさがすごい

この文章の中で、おかしくなった人が「他にも5人いた」と言っていたので、ムーンパレスのことを言っているのか?でもおかしな人はいないし… この中の誰かが、以前はおかしかった状態から元に戻ってるとか?

とずっと混乱していると、ツェネズが引きこもりをやめて出てきて、隠されていた文書や、間違い探しの隠し文章で徐々になんかこの空間はしっかりと意図された理由があってこうなっているっぽいことが分かってくる。
あれ?もしかしてしっかりしている?

ネタかと思いきや重要な意味があった問題の間違い探し

しかもクラインという名前がまた出てきた。重要人物なのか。

・不条理系ではなさそうだが、でもわからんしやることは変わらない

ツェネズが出ていたあともやることは特に変わりなく、会話を続けていくだけ… でもツェネズの情報や文書と照らし合わせると、このファミレスでの永遠がただの永遠ではなく、意味がある、しかも終わりがあるものだと分かる。が、その終わりが圧倒的途方もない未来(未来と言って良いのか?)にあることがわかる。

ただ意味もなく永遠にやることがないファミレスに閉じ込められただけのゲームではなかった。秩序が見えてきてワクワクする。

・箱

そして王様が箱をくれた。

16桁という途方もないパスワードがかかった箱。

普通のゲーム脳なので、パスワードはこれまでの会話や書類のどこかにヒントがあるのだろう、と色々探すが、特になく、いろいろな人との会話からマジで総当りで進めることになりそうな気もした。

でもまあ、さすがにどこかに答えがあるだろうけど、とりあえず今は詰まったので、とにかく右端から1,2,3…10,11,12…とやっていくと突然主人公が喋り始めたので、開いたのかと思ったら、「マジで総当たりでやるの?やるならやっちゃうよ?」という覚悟表明だった。

なんか怖いので一旦やめたら、何も起きずにやめただけだったのでまた自力総当りを再開していると、また同じ会話。今度は「はい」を選ぶと、突然軽快な音楽とともに自動で進む数値。手動よりはだいぶ早いが、それでもだいぶ待ちそう、と思っていたら、ときどき他の客が話しかけてきてくれる。

セリフだけなのに、これまで会話してきてそれぞれのキャラクターが分かってるから、どれが誰かすぐ分かる。みんな邪魔してこない。優しい。そしてずーーーーーーっとカチャカチャやり続ける主人公。だいぶおかしい。

がんばってね、という声かけだけのときが多いが、セロニカがマジでTRPG作って他のみんなと、ツェネズとすら一緒に遊んでたりして、画面は全く変わらないのに微笑ましい。

なんか、ある意味ゲーム中で一番好きな時間だったかもしれない。

それでもプレイヤーは何もすることがないまま結構待つ。数分間は待ったと思う。なのに音楽はこれまでで一番ループが短い。おかしくなりそうに思えて、そこまででもない。

そしてパスワードが解ける瞬間。これまたかなり好きな瞬間。

おそらく数分間、いや、数時間とか放心していたんだろう主人公の困惑。

そりゃ放心もするだろ。

プレイしてたときは「数万年とかずっといじってたんだろう、そりゃこんな反応にもなるな」と思ってたが、あとで概算してみたところ、まず16桁あるので9999999999999999回カチャカチャすることになる。999京999兆999億999万9999。というか1垓。

そして答えは1432506904220021。

数字を一つ回すのに0.2秒かかるとして、この数字まで回すのに9084899年かかる。
900万年… これを「集中しすぎた」で済ませられるラーゼがやはり一番やばい。

その通りですね

・開いた、けど…

箱の中にはストローと、これで月の涙を飲めというメッセージのみ。

ドリンクバーに行ってドリンクを入れると、よく見るとコップに細い線が追加されてた。これ、ストローか。

そしていきなり月の涙は怖かったので他のものを飲んでみると… いきなりなんか主人公が毒を盛られたかのような反応…と思いきや物体を吐き出す。

ガラスパンが数千年前になくなったと言ってた、ミルク!(実際は1000万年くらい前になるわけだが)

でも更にわからん!

なんか逆に嫌な予感がしたので、素直に月の涙を飲んでみると、突然のワープ、そして… クライン!

ここで一気に種明かしが猛烈な勢いでされていく。情報が、情報量が多い!

月の民というのがいて、人間とは違って、高い技術を持ってて、クラインがそれだったり、記憶を消して別人にする薬があったり、元の場所に戻るためのトークンがミルクだったり(それを普通にミルクとして使っていたガラスパン…)、クラインと王様はやはり知り合いだったりあれやこれや。

もしかして主人公は記憶を消した92番だったりする…?
と思ったら、あの92番はいわゆる不可逆な状態に陥ってしまった月の民で、そういう人達には薬は効かなかった、と。なるほど。じゃああれ誰?主人公もだれ?

話を全部聞いた後、ツェネズにミルクを見せたらなんかまた新展開がありそうだったので進めてみたら、そのままゲームが終わってしまった。王様の記憶も戻さないまま。でもこれはこれで全員ほぼハッピーエンドでは。主人公の献身というか狂気が報われた。

ほんとにつかなかったわ

・クリアおめでとう?

ってか、スタッフロールでセロニカが記憶を失った処刑人というのが出ててホギャーとなる。ラテラも存在しない!?どゆことー。

いやー、エモかったー……はあぁぁぁ!?ってなる

そしてやっぱりタイトル画面でのED2を見たあとに開放される要素はそのままなので、あれが通常エンドだったというわけかな。

さっきのセーブからやり直して、まず王様に薬をあげてクリアしたが、王様に新しい記憶が宿っただけで特に変わらず。

更に王様に二回薬を飲ませてみたが、またまた特に変わらず。

・わからん!

セロニカに薬を飲ませると展開が変わるという予想はできたが、どうやっても主人公が自分が吐き出した薬ですと正直に言ってしまうのでキモがられて飲んでもらえない。

仕方なく薄目でネット検索すると、ドリンクを持ってセロニカの前で飲むと記憶が見える、とな…?

ドリンクを持って移動… そういうのがあるのか!

でも確かに普通に考えたらドリンクバー行って、コップに注いでその場で飲み干すやつなんておらんわ!ゲームだから、ドリンクバーのところでしかコップのグラフィックが出ないのかと思っていた!

第一のスープをストローで飲んだときの「対象?の近くで飲む」云々のメッセージはそういうことか!

ということで飲んでみると、これまた新情報、というか解決編がモリモリ出てくる。セロニカに薬をあげる選択肢も出た。

が、もしかして他のキャラクターの前で飲んでもなにか起きるのか?と飲んでみると、全員出た!

ガラスパンも、王様も、ツェネズも。

それぞれが重要過ぎる情報をまたくれる。というか新規絵がたくさん見られて嬉しい。

「ファミレスを享受せよ」の名言はガラスパン発祥じゃなくてラテラだったけど実際はラテラはいなかったからやっぱりガラスパンだった。

元々はラテラのセリフ…ではあったけど…

で、改めてセロニカに話しかけたら、結局他の人の記憶も見てこいってなったので、これが普通の流れだったわ。ゲーマーあるある、重要なフラグを予想してついつい先に他の行動を済ませてしまうやつ〜。

・真エンディング

で、これまたエモい展開になり、エンディング… なのだが、実は最初のエンディングと展開的にはそこまで変わらない。ハッピーさで言えばどちらもハッピーエンドなので、プレイヤーはひたすらニコニコなのだった。

そして王様〜。クラインと一緒に流刑の月に送られるエンド。エモすぎる。

あー、良かったね〜

でも彼女は永遠の命状態なのだろうか、それとも人間のままなのだろうか。まあムーンパレス状態なんだろう、きっと。

で、終わりかと思いきやそうではなく、ラーゼがまたファミレスに向かうのでデジャヴか二周目かと思いきや、ガラスパンと再会してて一緒にご飯を食べ、黒バックにセリフだけ出る「おいしっ」「よかったね」でエンド。

なにこれ良すぎる。

全てが良かった。

カットシーン全部良い。飾りたい。

・終わりかと思いきや…

完全終わりかー、でもちょっと気になるところあるなぁ、まあ満足したからいいけど…

と思いながらED2クリアで開放されるのはまあサウンドルームとギャラリーだろうと思ってまさにその通りだったが、そのギャラリーがなんと既存のイベント絵ではなく、全て新規絵、しかも新しい説明がてんこ盛り!嬉しいサプライズすぎる。

サウンドルームのビジュアルも良い…

ラーゼの姿がここで初めて確認できる。そして彼女自体に謎は一切なく、結局エネルギーが有り余っている狂人ということが判明しただけだった。やっぱり、こわっ。

転送の条件は「特定の時刻、星辰、座標で合言葉を言う」
これは、こんな月がきれいな夜はファミレスに行こうかな、なのか?
それとも現実のムーンパレスで「ソフトクリームにエビは入ってますか?」だったり?そうなるとセロニカも新しい人生ではエビアレルギー設定されてたことになるな。

終わった後も色々と引きずるゲームだった。

・気になったところ

いきなり項目が横に並んでいるだけというスタート画面から感じるUIの不親切さは、実は全体を通して存在する。

まず、ゲームスタート時に最初からコンティニューにカーソルが合っていないので、連打してると普通に最初から開始になってしまう。オートセーブではないのですぐにリセットすれば大丈夫だけど…

会話のネタを選択してキャラクターと会話していくのがメインのシステムなのに、ネタが使用済みかどうか表示されない、なのに会話はスキップできない、画面の中でどれが調べられるものかもわからないなどなど。

ただ、それが全然気にならない。ゲームが短いからというのもあるだろうが、画面をシンプルにしてくれていて物語に没頭できるから、というのもある気がする。

これがもっと長い、数十時間とかのゲームで、話題が次のページに行くとか画面が埋まるくらい増えたら、確実にもう管理できなくなって一気に残念ゲーになってしまったと思う。あえてこのくらいの長さにした精密なレベルデザインなのか、偶然の賜物なのか…

ただまあ、自分の場合は途中で詰まったから会話をほぼ全部やり直したり、最初からやり直したりもしたのに、まだ全ての話題を獲得する実績が取れてないというのが証拠になると思うが、あの数でも普通に管理できなくなってたので、やはり既読話題がわかるUIがあってくれたら嬉しかったな、とは思う。親切、不親切ではなく読み逃したテキストがあったというのがただただ悔しい。
もっと、読みたいんだよ!あなたのテキストを!

・良かったところ

  • 会話全部。大事なものも、大事じゃないものも。

    • なんというか、会話のリアル感が良い。リアルじゃないときも、言葉選びが良い。そしてしょっちゅう出てくる軽さ。主にガラスパンだが。ひえ〜。

真面目なシーンなのになぁ
  • 台詞の前の余白

    • これがなんというか、しっかりと印象に残るレベルで良かった。ノベルゲームでもRPGでも、会話があるゲームならどれでもシステム的に同じことができるはずだが、どれもせいぜい会話の初めを「・・・」にするくらいで、ウィンドウを出さないというのは見たことない気がする。なくもないとは思うが…でも、このゲームだとマジで良い感じにウィンドウを出す間を調整していて、絵は動かないのにキャラクターの逡巡を感じるレベル。

  • 音楽

    • 音楽がまた良い。サントラを買ったけど、時間としては長くても1:30ちょいで、曲数としてはあの総当たりの時間のBGMも含めて7曲しかない。なのに全く聞き飽きたとかそんな思いはなかった。特にオープニングで流れるMoonlit Past、54秒しか無い。なのにエンドレスで一生聞けるし頭には残るし、名曲すぎる。

  • キャラクター

    • 前項参照

  • 全体的なデザイン

    • パースがおかしく見える構造物の線。シンプルな線なのにかわいいキャラクター。癖になる〜。

この歪み、最初は異世界だから変なのかと思ったが違った
  • 黄色と青、黒だけの配色

    • 最初黄色と青だけって思ってたけど、当たり前だけど黒もあったわ。

もはや美
  • 間違い探しの最後

    • 普通の暇つぶし要素かと思いきや、やけにストーリー性を感じる絵、そして最後の間違ってるのに間違ってない絵、全部終わらせた後の怪文書… ゾクゾクする〜。

ネタかと思いきや重要な意味があった問題の間違い探し
  • エンディングの月にいるクライン、そして王様

    • エンディング1をやったあとだから感じる天元突破のエモさ。

  • 最後の最後の終わり方の「よかったね」

    • よかったね。

というか、もうなんというか全部。

・まとめ

えっ、たった4時間?ムーンパレスじゃないけど永遠の時を過ごしていたかのような満足感だった。

淡々と進むように見えて、色んなところに伏線が張ってある。最初の青い薬、間違い探しそのものと92番の話、ミルクがないこと、王様だけ昔の存在、あれこれそれこれ。

やっぱり青い薬が一番ひょえ〜ってなったな。あとはエンディングそのものによるネタバレか。

最初のシーンに戻って来るゲームは全て名作

パスワードがある箱、どんなゲームでも作品でも、パスワードを探すというのが大きな目的になっているものであり、総当たりが正解というものはかつてなかったのではないだろうか。

そういう反応にもなる

だが、このゲームの背景として時間がほぼ無限という要素が加えられた途端に、総当たりが選択肢に入ってきて、しかもそれが正解という。まあ、どのキャラも総当たりをオススメしてくるわけだが。

そして実際に総当たりを試し始めて、いやいやマジかよとなったあとに起こるイベント… うーん、思い返してもたまらん。

エンディング2を自力で到達できなかったのは再起錠剤を飲んでやり直したいくらいの気持ちではあるけど、まあ、作品の98%くらいは楽しめてるだろ…

二周目で箱を総当りせずに開ける実績達成できたし、ええわ

最初思ってたようなゲームではなかったけど、不条理系だと思ってたときも面白かったし、設定がわかってきてからは更に面白く、とにかく最初から最後まで良かった。

再起錠剤を飲んでもう一度遊びたい。


感想ではない、自分が遊んだときのプレイメモ

最初に青い薬を飲む主人公。

深夜のファミレスに来てソフトクリームとドリンクバーを頼んで勉強する。主人公はエビアレルギー。

気づいたら異空間に閉じ込められてしまった。

店員はいない。ドリンクバーはペンギンソーダ、黒い酒などの知らない飲み物ばかり。

王様Rスパイク、ガラスパン、ドアから出てこない女性ツェネズ、セロニカと自分の五人だけ。

ツェネズ、ガラスパン、王様、セロニカの順に来た?

ガラスパンは元々ラテラと一緒に来たが、ラテラが消えた。嘆き苦しんだあとに、今のように黒い酒を飲んで過ごしている。

Rスパイクは女性の王。フォースプーン国。既に滅びた。
戦争中に王が消えた。

セロニカは唯一の男性、ということはプレイヤーは女性か。

間違い探しを貰った。地味に難しくてサイゼ。楽しい。

最後に突然間違い探しなのに間違いじゃない間違い探しが出てきてこわい。

間違い探しを全部解いたら、92番という宇宙外生命体が地球に不時着したという怖いテキストが読める。

その後人間が来て月に一時的に退避させている?他の5人がいるから安心だとか。
5人?ムーンパレスにいるのも5人… どこかに92番が存在する…?これから到着するとか…?

会話は調査で話題を見つけて、他の人と話す。
一つの話題で話すことは同じ。スキップもない。使用済みの話題かどうかもわからない。調べられるアイテムかどうかの表示もない。

コーヒーを淹れて欲しいというお願いに答えたら黒い液が出てきて止まらなくなるというハプニングが起こり、その間にツェネズが部屋から出ていた。

その部屋にあったボタンのパズルを、残されていたマニュアルに沿って解くのだと思ったらセロニカが頭良すぎて全部教えてくれた。

装置1のメニューの数 2 4 1
左 右 中央の順で上の数字を押す

なのに押す順番を理解してなくてひたすら間違える自分。
ようやく正しく押せたら、急に隣の部屋に行けるように。そこにはでかい冷蔵庫。そしてまた月。二つの月…?まあ、今更この世界で月が2つあると言われてもへぇ…ってなるだけだけど。そして他の人の反応もだいたい一緒だった。自分も結構享受してきている。

そして冷蔵庫を開けたらまた黒い液が出てきて、そこに女の子が。かわいい。

これがツェネズなのか?と疑問に思っていたら、挙動不審過ぎる反応で完全にツェネズだわ。なんでここにいるのかは全くわからんが、あの部屋から逃げ出して冷蔵庫に入ってたらしい。
明らかにあの文書に書いてた「管理者」なんだろうな。
だから他の人々は漂着者。92番の話と関わる。
これを書いたクラインというのは、92番の書いたテキストの中に出てきた、人間の名前のはず。

このあとは自分の席の近くの角に常駐してくれて、何も言うことはないと言いながら色々と教えてくれる。
でもこのタイミングでこれまで増やした話題がごっそり消される。なぜかケーキはある?とかは残ってるがツェネズに聞いてもやっぱりないと言われるので残ってる意味がわからん。まあええわ。

会話を色々続けていたら、王様から16桁のパスワードがかかった箱をもらった。

数字自体は読めないが、数えると一応10進数。
92 6 111とかのこれまでの文書に出てきた数字を並べるとか?

そういや王様がクラインという名前に反応していた。もしかして、箱を渡した部下の名前もクラインとか?ということはあの間違い探しや、奥の会話にパスワードのヒントが?

ゲームを再起動して開始すると、新しく始めそうになってしまうのは罠。

間違い探しの文章とかも読み直してみた。
2つ目の月で待っている人がいる?
クライン、6番、92番が舟に乗って月にやってきた。
92番の他にも5人いる。それが今いる人たち?不可逆な92番がこの中の誰かなのか?

色々な人にパスワードについて聞いてみると、みんなに総当たりを試せとか言われる。わからん。ほんまか?
一応試してみるか、と一番右端から1つずつカチカチして総当たりしようとしてたら、メッセージが出たのでいきなり正解になったのかと思ったら、単に覚悟完了するだけだった。

怖かったけどOKしてみたらあとは自動で進むようになった。良かった。
ということは、最初から知っている状態で行ったらまたかわるのか?
16桁の総当たりをリアルでやろうとしたらどのくらいかかるんだろう。
途中でセロニカが、200年かけて作ってたTRPGが完成して誘いに来た。
総当たりは0からじゃなくて最大値からやったほうが早かったのではないか。

そして答えが出た。
記号と換算してみると1432506904220021
最後からやったほうが早いとかそんなことはなかったわ。最大値からやってたらもっとかかってたわ。危ねえ。

数字を一つ回すのに0.2秒かかるとして、この数字まで回すのに
9084899年
かかる。
900万年… やはりラーゼが一番やばい。

開いたらストローが出てきて、月の涙を飲め、と。
でも水銀水を飲んだら青いカプセルが出てきた。
黒い酒を飲んだらミルクが!
月の涙を飲んだら意識が飛んで、また最初に戻ってファミレスに来たらクラインがいた。
やはり主人公は92番?

情報がものすごく出てくる。クラインだけどクラインじゃなかった。
ストローは処刑人の手に渡るはずのもの。
処刑人とは、113人の中で最も信頼できるもの。
ストローの機能は:
・月の涙はストロー内情報との接続
・再起錠剤生成
・トークンの生成
の3つ

トークンとはミルクで、地球への転送に必要。ガラスパンは普通に飲んでたから、普通に飲むこともできる?

やっぱりクラインは王と知り合い。約束を果たそうとしている。
その約束は「王に普通の生活を与える」こと。
そのためには再起錠剤とトークンを作る。
再起錠剤は、不可逆な状態を戻す。92番とかには使えなかったが、クラインたちや人間には機能する。
この薬は記憶を失わせ、新しい記憶を上書きする。別人になる。
二回飲むと、最初失った記憶を取り戻す。

ツェネズにミルクをあげたらゲームが終わってしまった。

エンディングでみんな解放された。ガラスパンはラテラの記憶を失ってるけど仕事は前と一緒?
セロニカは前言ってた本を読み続けているので記憶がありそう。と思ったらガラスパンが言ってた本だった。あれ?関係ない本かも。いや、これはガラスパンがセロニカに同じ話をして、その本を読んでみたということかな。これはこれで、良い… でもムーンパレスでの記憶失ってるはずでは?
王様は未来で復活。楽しそう。
名前は同じままなのかもしれない。

気になったのでやり直して薬を飲ませたらちょっとだけ展開が違うだけだった。
でも結局飲ませなくても平和で普通の生活を送れてる気がした。

というか、エンディングで主人公の名前やセロニカが処刑人だったことなどもりもり明かされて慌てる。
でも、これもED2のヒントであり、セロニカにどうにかして青い薬を飲ませるんだとわかるからこれはこれで、好き。

しかし、ゲームの最初に主人公も青い薬を飲んでるんだよなぁ…
結局主人公は誰なんだ?ラテラ?クラインの友人?むしろセロニカか?

第二のエンドがわからなかったので、最初からやり直してみた。

そういえばツェネズが姿を消すのと、薄暗い雑談とか増えるタイミングが一緒で、コーヒーを渡す前に会話を続けていたら雑談系がどんどん増える。
ツェネズがいなくなる前に雑談をコンプリートできそうだったのでやってみたが、話題コンプの実績は解除できなかった。一度のプレイでコンプとか、まだ見たことない話題があったのだろうか…

ともかく攻略をちょっとだけ見たところ、セロニカの前で第一のスープを飲むということが書いてあり、ドリンクを…持ち歩く!?
飲み物を持ち運べることに気づかなかった。ヒントは出てたのに…!
というか、普通ドリンクバーは席に持ち帰るものであって、その場でグビグビ飲むものじゃないわ… そこは現実的にやるべきだった…

早速やってみた。ほんとにドリンクを持ち運べた!ドリンクバーだものな!でも突然人の前までドリンクを持ってきてグビグビ飲む主人公、こわ… いや、これまでやってたこと考えたら今更か。

するとセロニカの過去が見えた。
クラインは300年の休暇中にフォースプーンに行って、王に入れ込んでしまった。
それをセロニカが処刑というか、流刑にした。

人間の法も破ってた

会話の合間の空白が、とても良い。息を呑んでたり、考え込んでたり。
オープニングの手はセロニカだった…!

これで終わりかと思ったが、もしかして他の人も同じことができるのかと思い、全員の前で第一のスープを飲むとそれぞれの過去が見える!

王さまはクラインとのやりとり。クラインが仲良くなり、逃がしてしまう。そのときに金のストローを渡した。パスワードも教えろよ!
元々、セロニカに届くと思ってたんだろうか。セロニカは記憶を失っているからパスワードを知らなかった?

ツェネズは46番とのやり取り。
そもそもこのムーンパレスはメンテ中だった。なのになんでこんなに人が来たんだ?
68番クラインが流刑、67番セロニカが失踪したあとの話。セロニカの代理はいる?誰だ?
ツェネズは魚の形、というか113人は全員不定形で、再成形しないと人の形を取れない。
途中でツェネズが逃げた時も、冷蔵庫で再成形してたのか。というかずっと黒い液体状態だったのか。

トークンで時間飛ばすの意味は未だによくわかってない

ガラスパンの過去を見ると、ラテラは実在しなかったことがわかる。じゃあどのタイミングで気づいたんだ?王様がムーンパレスに来たときにちょうどラテラが失踪したようだったが…

全員分の過去を見て、それを伝えたあとにセロニカに頼むと、ようやく別ルートに進んだ。

ちなみに王様の記憶を消した状態で別ルートに進んだらどうなるのか試してみたところ、王様の記憶を消すのと、過去を見たことを伝えるのを同時にはできない。記憶を消してしまったらあとはもう一度薬を飲ませるしかできなくなり、過去を見たことを伝えた後だともう薬を飲んでくれない。なるほどなー。

何度か出てくる「よいしょ」でセロニカが舞台を整えてくれて、新しいBGMが流れる。どの曲も良い…

それぞれがそれぞれの過去を確認し、そういえば主人公はどうなんだ?となる。そうだよな。一番の謎キャラだもの。
と、満を持して見たところ、特筆したところはない。
えっ。
900万年集中できるのに?
無線の試験を受けたすぎるだけ?
ガラスパンも言ってたけど、こわっ… こんなに共感できない主人公はなかなかいない。
そしてここで初めて明かされる… いや、実際はエンディング見たときにバラされたけど、主人公の名前はラーゼ。セロニカ以外は知らない。数百万年名前も知られてなかった主人公。斬新。

新しい情報も色々出てくる。
月に移り住んだ113人の不死の種族がセロニカ、ツェネズ、46番、クラインなど。
でもセロニカに青い薬は効かないはずでは?
不可逆になった仲間に効かなかっただけか。クラインの影が言ってたな。
でも、青い薬を飲んで効いたのはセロニカだけか?月の民であることは変わらないから、不老不死の人間として生きていくことになってたということなのだろうか。周囲の人間の認識をちょっと歪める能力があるからそれでバレないにしても、本人はどうなってしまうのだろうか。なぜ自分は他の人と違って一切老化しないんだ…?ってなってそれはそれで不可逆な精神状態になってしまいそうだ。

そして真エンディング。
エンディング1はクラインだけだった月に、隣に王様がいる!何も動きはないのにグッと来まくる。

さりげなくラーゼとガラスパンが再会していて、一緒にファミレスに行っている。あとムーンパレスでの記憶はやっぱり失っていない。

色々とたわいない話をした最後に黒バックでセリフだけ表示される。
ガラスパン:おいしっ!
ラーゼ:よかったね。
終わり

なんだこれ。これまで遊んできたADVゲームの中で屈指の終わりじゃないか。良すぎる。放心してしまう。

そして解放されたアートギャラリーを見ると、気になっていたところがことごとく説明されている上にラーゼのお姿まで!こっちもかわいい。

主人公のラーゼはまじで普通の人間だった。
第一級総合無線通信士の試験勉強を頑張ってた。
若いのに資格持ちすぎでは?天才かよー。転職やりやすそうだな。

月の民は元々あの姿だったのではなく、昔、黒い液体が満ちる星に隕石がぶつかり、バラバラになった欠片113個から自我が発生してこうなった、と。113人が全員クラインみたいな技術者というわけではなく、ほとんどは人間と同様、普通の人ばかりでクラインの発明する技術をよくわからんけどすげー、助かるーしてるというのがとても良かった。

転送の条件は「特定の時刻、星辰、座標で合言葉を言う」
これは、こんな月がきれいな夜はファミレスに行こうかな、なのか?
それとも現実のムーンパレスで「ソフトクリームにエビは入ってますか?」だったり?

46番さんに肩に手を置かれているツェネズが照れているのがかわいい。というか46番さんが一番背が低い。成形するんだから姿は自由自在なんだろうと思うが、各人の好みで決めてるんだろうか。

クリア後に色々考えたり、他の人の実況とか見てたけど、間違い探しの絵本はやっぱり月の民の成形に関する絵本みたいなものだった。
最後の一番怖い間違い探し、上の画像と下の画像、魚のような形をした不気味なものと魚は間違いではなく、同じものだということに気づいたときのヒュッとなる感覚、良い…
あれがヒラタイウオムシかぁ〜。キモい。

知らなかったけど、サントラを買うとギャラリーにもなかった一枚絵が見れるのでそれだけでもオススメ。
でも切り替えたバージョンの音源は入ってなくて寂しい。
そもそも音源切り替えられること、知らない人けっこういそう。

よかったね

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