プライスレス
目の前でバイトと思われるスタッフさんが楽しそうにおしゃべりしながら、何事も「工場で加工された半製品」を、丼に並べてゆくだけというラーメン屋さんがある。
彼らは職人さんではないから、スープは酸化し(酸化していることに気づかない)、麺の湯切りはできない。お客さんが入らないことに責任も持たない。教えられたとおり、プラモデルをつくるようにラーメンを組み立てて(質には留意もなく)、時間が来たら「お疲れ」と帰っていく。
で。こういうことが問題にはならなくなった。
とくに、ビジネスな「利益率」が先に考えるような、大規模チェーン店なラーメン屋さんはそうだ。
一方
いわゆるグルメ・リポート的な感じに伝えるのは難しいお店がある。「溢れ出る肉汁が…」的な描写はもうそれだけで、このお店の魅力を矮小化して語ることになり、語っている僕自身が残念になるというような店。
東急東横線元住吉駅、ブレーメン通りにある、その店の魅力は、まずお店の中に漂っている「美味そうな匂い」。お肉を焼く匂い。上質な油の匂い。それでいて、その匂いは店外にはほとんどもれていないから、ドアを開けたとたんのワクワク感がたまらない。
そして、このお店に集まっているお客さんたちの雰囲気。カップルも、親子連れも,みんな仲良さそうだし、楽しそう。しかもどのお客さんにも「傍若無人」感はゼロ。ちゃんとホールさんに気を使う余裕を持っている。
もちろん、ホール係さんたちも機転を効かせながらテキパキとお客さんの希望に応えていく。そして、彼女たちには「お仕着せ」感がなく、それぞれに個性的。命令やマニュアルで動いている感じがない。
つまり、出される料理だけの魅力でもないし、厨房さんやホールさんたち=お店側だけが魅力的なわけでもない。ここに来るお客さんや元住吉のブレーメン通りあたりの街の雰囲気なり、全てが相乗効果になっての魅力。故に重厚…という。
町田と元住吉と 二店舗
こういう「場所」としての魅力は、ビジネスな大規模チェーン店には絶対に創り出せない魅力。
そのほとんどがプライスレスでね。
お買い得感、満載なんだ。