新自由主義者
タテノカズヒロさんの著作「コサインなんて人生に関係ないと思った人のための数学のはなし【マンガ】」(中公新書ラクレ)。その例示マンガの中に彼女に靴をプレゼントしたいのだが、彼女の靴のサイズがわからずに思案する彼氏が登場するものがある。
彼は、彼女の身長については154cmと知っていたので、身長170cm、靴の大きさ26cmの女性の友だちがいたことから26cm×(170cm分の154cm)の式で彼女の靴のサイズを割り出そうとする。
でも、この公式は「身長が170cmの女の子の靴のサイズは全て26cm」であり「身長が153cmの女の子の靴のサイズは全て23.5cm」という状況がなければ、現実には成り立たない。ところが、ご承知のように人間は、同じ身長でも靴のサイズはバラバラ。もちろん、いくつかの「群」には分けられるのだろうけれど、それとても工業生産的な「既製品」に人間の方を無理やりあてはめるための「群」であって、人によって千差万別なのが自然。今もオーダーメイドの靴職人さんがご活躍の所以だ。
でもね。
こういうことを全然気にせず、S/M/L/LLな世界に人間を押し込めてきたのが、工業生産時代なんだろう。
その一方で「私」以外「私」じゃないのに、誰もが「自分と同じ」と決めつけて、私がいいと思うものはあなたもいいと思うだろうと、自分を他者に押し付けてきた。
これも工業生産時代の呪いだ。
でも、AIとコンピュータが全てを変えていく。近くS/M/L/LLな世界は終わっていく。薬でさえ(AIとコンピュータによって)個々に調合され、各人ごとの一錠がデザインされる時代が間近か。薬剤師さんの資格を持っていたって就業が安定するかどうか判らない。そんな調子に半数の職種がなくなり残った職種でも全員が生き残れるということはない。
AIとコンピュータによって解放され、AIとコンピュータに職を奪われる。
河野太郎さんは良くも悪くも小さな政府志向の「新自由主義者」だ。だから、お役人の量的な削減から始める。それに、お役人が抵抗して「マイナンバー・カード」の顛末だ。
一方、河野さんたち「新自由主義」の勢いがよくなると、民間はスムーズにデジタル化、AI化、無人化、つまり少数精鋭の「小さな会社」を実現していく。大量の人が職にあぶれる。
「役所」のスリム化と、「民間」のスリム化と。
でも、このせめぎ合いの向こうにしかベイシックインカムの実現はない。
ただ、ちょっとでも「民間のスリム化」が先を行けば、アメリカ、イングランドも、韓国もそうか。中流は中流という階層ごと下流へと押し流される。
「公の財源」が安定せず、役所のスリム化が遅々として進まないとすると、その分「敗戦直後」のような状況は長く続く。あの頃の日本に、朝鮮戦争の特需がなかったというよう感じ。
さぁ。河野太郎さんを、新自由主義者をどう考える?
食料供給地で戦争が起こり、この国の食料自給率は長く40%に届いていない。エネルギーの自給は10%台だ。
風雲急を告げている。
この国の連合艦隊だと思っていたら、各戦艦は知らぬ間に外国のもの…すでにそういう状況。
税率はすでに収入の半分近く。「円」は弱い。
どうしよう。
河野太郎さんを応援する? 脚を引っ張る?
もう本音で考えないとね。僕らけっこう追い詰められてるよ。