サンクチュアリ
まだ、多くの人々が巨大な「フツウ」に参加して、それで生活を成り立たせているところがある。
(自分の脚で歩き始めた人もずいぶん増えたけど、まだマイノリティだ)
「フツウ」っていうのは「最大公約数」だから、剪定し過ぎの樹木のようなもの。もともと「フツウ」に生まれる人はおらず、もとはみんなが、それぞれに「個性」ある個人だ。でも、主に「食っていく」ために、自らにハサミを入れて「フツウ」になってがんばる。
だから疲れてしまうこともある、と。
そんなとき、街まで「フツウ」だったら。
でも、イマドキの街はカオナシで、冷たくて、その上で等身大をはるかに超えて威圧的で、個人を吞み込んでいく勢いを持っている。
というわけで
場末にある、変わり者で不器用そうな人がやっている、食っていけてるんだか、どうなんだか判らないような店が愛でられる。
でも、そういうお店は再開発の街には出店できない。実際に儲かってはいないし、あのルールに縛られた街に馴染むこともない。旧来の商店街にある小さな商業ビルにだって、新築なら明確なルールがあって、管理会社があって、その範疇で「フツウ」の店をやらない。深夜に常連だけで盛り上がっていたら怒られてしまう。
そんなこんなだが、だからこそ「フツウ」じゃなく過ごせる街へのニーズはますます高まっている。
捨てる神あれば、拾う神ありだ。
「フツウ」が離れていって空洞化した街に、変わり者が店を構える…ここ数年、そんな事例も増えていっている。もちろんビジネスな出店もないわけではないけれど、その店主さん自身「フツウ」に居心地を見出せずに、だから店を開いて、そんな店主さんに共感できる人がポツポツと集まって街灯りになっている…「フツウ」ではない時間が色濃い場所。
そういう店が目につくようになってきた。
今は「点在する」程度だが、やがては街ほどにも集積して、それなりの顔を持つのでは。新宿のゴールデン街のように前例がないからね。
たぶん、これからだな(ネットがあるということも追い風だし)。
独立起業が流れでもあるし、「ビジネス」が理由でお店を開いたわけではない方ほど、経済的な環境が悪くても「居心地を求めて」の出店なんだし、時代が窮屈で、しかも楽には暮らしていけない。緊張感を強いられる状況なんだから「求める」お客さんもいる。
まだまだ「流れが切れる」ことはないんだと思っている。
これからだ。