【一部内容紹介】ISW ロシアによる攻勢戦役評価 1930 ET 05.01.2024 “ウクライナ北部でのロシア軍大攻勢の可能性”
戦争研究所(ISW)は2024年1月5日付ウクライナ情勢報告で「ロシア軍が今後の数週間でハルキウ州クプヤンシク占領の取り組みを強化する可能性がある」と述べています。
ロシア軍の最終的な作戦目的は、オスキル川東岸地域からのウクライナ軍の排除ということになると考えられます。過去にウクライナ軍当局者もロシア軍の想定される動きとして、まずはクプヤンシク、それからボロヴァというロシア軍作戦行動を示唆していました。
ただし、クプヤンシク方面でのロシア軍の作戦遂行テンポや部隊構成を考えると、この方面での“大規模な”ロシア軍攻勢が差し迫っているようにはみえないと、ISWは指摘しています。また、ウクライナ軍当局もクプヤンシク方面での大規模攻勢を示唆するようなロシア軍の戦力増強を公式には発表していません。
なお、ISWが報告中で紹介している英紙テレグラフの2024年1月4日付記事(Ukraine braces for renewed Russia offensive near Kharkiv)が、ウクライナ北部におけるロシア軍大攻勢の話の発端になった模様です。
1月4日にロシア軍は、ハルキウ市とその周辺にミサイル・野砲・迫撃砲による行いました。テレグラフ記事によると、これは「今後数週間以内に発動する大規模攻勢の攻勢準備射撃」と考えられるとウクライナ軍に近い情報筋が語ったとのことです。また、ロシア軍の攻勢は早ければ1月15日にも始まる可能性があると、この情報筋が述べたということも、テレグラフ記事は報じています。
しかし、ウクライナ軍当局者は、このテレグラフ報道に反応して、ハルキウ方面でのロシア軍配置に変化がなく、大規模攻勢を準備するロシア軍の戦力集結も行われていないと述べています。
なお、ISWは「ロシア軍が攻勢作戦を強化する可能性はあるが、クプヤンシク方面の既存の部隊集団を用いて、全面的な大規模攻勢作戦を発動する可能性はない」という評価を示しています。