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【SNS英文投稿和訳】"ウクライナは現在、戦争に負けつつある"(ウクライナ軍元将校Tatarigami氏 | 日本時間2024.10.16 08:31投稿)

本記事は、上記リンク先のロシア・ウクライナ戦争に関連する内容のSNS英文投稿を日本語に翻訳したものです。

なお、投稿者のTatarigami氏はウクライナ軍元将校で、戦争・紛争分析チーム「フロンテリジェンス・インサイト」を創設し、ウクライナ戦況等の分析を定期的に発信されている方でもあります。


日本語訳

多くの人々が心のなかに抱いているが、口に出すことをはばかっているかもしれないことを、私は語ろうと思う。それは、ウクライナは現在、戦争に負けつつあるということだ。そして、劇的な措置が取られない限り、悲観的な傾向は続く。

何をもって敗北とするのか、もしくは何をもって勝利とするのか、このような議論はありうるし、ウクライナが今まで生き残ってこれたこと自体、もちろん大きな勝利ではある。だが、たとえロシアが進撃を停止し、防衛態勢に移行したとしても、1991年の国境線までの領土はおろか、2022年時点の境界線までの領土でさえ、それを取り戻すのに必要なリソースが私たちには不足している。この状況を招いた原因は複数ある。人的動員の遅れ、不十分な支援、不徹底な経済制裁の実施、西側諸国での政治的意志の欠如、不適切な軍事的意思決定、エスカレーション抑止への懸念に端を発する支援の遅れがそうだ。それに、我が国と比較して4倍の人口を有し、ほぼすべての領域で数的優位に立ち、極めて巨大な軍需産業をもつ国家と戦うという厳しい現実も、原因の一つだ。なお、我々が戦っているこの国家は、北朝鮮のような体制に支援されている。そして、北朝鮮よりもはるかにGDPの高い欧州のいくつかの国々よりも、北朝鮮の貢献度は大きい。

さらに別の問題として、マンパワー不足があるが、これは分けて議論されるべきものだ。この問題に関して、ウクライナ指導部には大きな責任がある。だが、ゼレンシキーが要求した14個旅団に必要なものを、西側が与えられない場合、何十万もの人々を召集することに意味があるのだろうか?  もっともっと多くの既存旅団の装備を完全に再充足する必要がある。では、そのコストを支払うのは誰なのだろうか?  率直に言って、このための資金を出そうという熱意は、米国にも欧州にもほとんど見られない。

ロシアが占領地を確保してしまった場合、欧州における安全保障上の中核的な原則の一つが、つまり、武力侵攻によって国境線を引き直すことはできないという原則が、損なわれることになる。2014年にロシアはこの秩序を乱し、それは2022年の侵略につながった。今回も失敗するとして、その失敗はウクライナだけのものではない。ロシアを負かすことができないのは、ウクライナであり、米国であり、そして、西欧諸国であるのだ。

ウクライナがとるべきだった姿勢の例として、フィンランドの「冬戦争」をあげる人がいるかもしれない。だが、この戦争は3カ月間続いたのち、フィンランドがソヴィエトに領土を割譲して終わった。さらに機械類のかたちで賠償金を支払い、港が一つ、ソヴィエトの租借地になった。今日のウクライナの人口動態もまた、まったく異なっている。15~25歳集団の人口が最も少ないが、これは現代の欧州各地で見られる現実だ。

ウクライナと西側が、人的動員を支えるための支援を劇的に増やす計画を真剣につくり上げない限り、ウクライナは消耗戦に敗北することになる。なお、この計画に関してウクライナは、動員された兵士に問題なく装備が与えられ、これらの兵士が適切な訓練を受けるという条件で、そして、米国がイスラエルに対して行っているのと同じくらい決定的な程度で、ミサイル迎撃用の頑強な防空能力を西側が供与するという条件で、さらなる人的動員を行うことを約束することになる。ウクライナが敗れることになれば、好ましくない和平が強要されることになり、ウクライナから他国に多くの難民が流れることになる。そして、それは危険な前例になる。さらに、世界中の人々から、とりわけ西側に敵対する人々から見て、西側がロシアに敗北したかのように映ることになる。

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