
娘に早起きのコツを語ったら1秒でブーメランだった
ノンフィクションです。
早起きしたい娘
2025年1月。
冬休みも終わって小学校も再開したある日、ブーメランを食らった。
僕が仕事から帰ってくるのはだいたい21時~21時30分ごろ。少しずれこむと22時になる。そのせいもあるが、ちょっと油断すると就寝時間が遅くなってしまう。気をつけてはいるが、ついつい遅くなる。
そういうわけで帰宅早々にバタバタと寝る準備をうながす。
僕は平日、できることなら早めに起きて色々やりたいと思っている。30分あれば読書がしたいし、10分でも使えれば筋トレもやりたい。
でも結局たいして早起きできず、起きたら7時という日が多い。やっぱり朝もバタバタしながら朝食、着替え、ゴミ捨てなどをやって娘を小学校へ送り出す。
さてじゃあ寝ようかというとき、娘が言った。
「あしたさ、6時に起こして!」
いやいや、もう22時をとっくに回っているのに6時は無理だろう。だいたい7時にだって起きられない日が多いじゃん。
「6時は無理じゃない? 早く起きてなにするの?」
そう聞きつつも、僕にはなんとなく分かってもいた。
「まだ決めてないけど・・・、でも早く起きたいから!」
やはり。
早起きすればやれることがある。何をとは言わずとも、やりたいことができる。その感覚はおおいに理解できた。
計画性はないけど謎めいたやる気はある。そこは僕と同じだ。
とはいえ小学2年生。たとえ6時に起きたとて、夜までもたないであろうことは容易に想像がつく。
rだからちょっと言いくるめることにした。
「なにをするか決めておかないと無理だと思うぞ。起きてすぐやることがあれば『あ、あれやろう!』ってなるだろうけど、なにもなかったらたぶん起きれないと思うよ。遠足の日とかそうだったでしょ」
そう言い終えて1秒後、僕の胸にブーメランがぶっ刺さっていた。
ブーメラン
「僕は平日、できることなら早めに起きて色々やりたいと思っている。30分あれば読書がしたいし、10分でも使えれば筋トレもやりたい。
でも結局たいして早起きできず、起きたら7時という日が多い。やっぱり朝もバタバタしながら朝食、着替え、ゴミ捨てなどをやって娘を小学校へ送り出す。」
なんともはや、ここまで的確に自分めがけてブーメランを投げ込めるとは。
僕が早く起きたくてもなかなか実行できない理由、それは『なにをするか決めてないから』であった。
色々やりたいことがある。それはよい。やる気があることはいったん褒めておこう。しかし僕に本当に必要なのは「明日の朝なにをするのかを決めること」だった。
明日の朝はなにをする?
あさっては?
週末は?
毎日ルーティンで同じ行動をするのか?
それとも日替わりで別のことをするのか?
それで家事はどのようにこなす?
僕は内なる僕からの怒涛のごとき質問責めにあっていた。
と同時に寝る準備はちゃくちゃくと進み、いつのまにか娘は隣でさっさと寝ていた。
起きてからなにをするか決めたのかは分からないが、とにかく寝ていた。
僕はといえば、まじめにも自分の浅はかさを痛感していた。
自分の時間をどう使うか、それを本気で考えたことはなかったのかもしれない。
反省しつつも、そのうちに寝入った。
で、翌朝
僕が先に目覚めた。時計を見ると6時30分。娘はまだ寝ている。
睡眠不足にならないかとすこし気にかかったが、まあ早く起きたいと言っていたし、6時は叶わなかったが起こすことにした。
「6時30分だよ。起きる?」
何度かゆすって目を覚まさせる。
目はまだ開いていないが、なんとか上半身を起こさせて抱きかかえ、リビングへ連れていく。
トイレに行かせているあいだに朝食の準備に取りかかる。
そうしているあいだにようやく目が覚めたらしい。
「そんで、朝なにするの?」
朝食を持ってくると、娘は僕のタブレットを持っていた。
「YouTube見る」
そういってお気に入りのチャンネルを見はじめた。
夜は早く寝なさい、タブレットはもう終わりにしなさいというプレッシャーが親からかかるが、朝はやく起きたときはあまり小うるさく言われない。
そういう知恵を身につけたらしい。
あるいは、早く起きてYouTubeを見ることは娘のなかで決めていたことだったのか。しかし「はやく起きてなにするの?」と聞かれたときにそう答えると、もしかすると禁止されるかも。
そういう考えをめぐらせたのかもしれない。
まあ、あと何分もしないうちに学校に行くのだし、出発の準備がちゃんとなされれば少しはいいかな。
「YouTube見るのはいいけど、ちゃんとおもしろいのにしなよ」
油断するとすぐにわけわからん有象無象の動画をレコメンドしてくるのがYouTubeだ。だから僕は、せめて本当におもしろいと思ったものを自分で探せるようにさせたいと思う。
そうこうしているうちに登校の時間となった。
娘は出発した。
僕はこまごまと家事をやりつつ、今朝はたいしてやりたいことはやれなかったなと思いながら自分の出発の準備をする。
ブーメランはまだ刺さったままである。