むき栗で簡単!モンブラン風フルーツサンド
このコラムは単行本『パンのトリセツ』(誠文堂新光社)を参照にしつつ進めていきます! 本を持ってない方でも楽しめますし、本を持っていれば、なお役立つようになっています。
前回の記事でパンラボの池田さんが、比較的入手しやすいマロンクリームを、秋の運動会形式でご紹介されていましたね。ちなみに、私自身は、ボンヌ・ママンのクレーム・ド・マロン(マロンクリーム)のヘビーユーザーだったりします。前回の池田さんの栗ネタに続き、私は栗を使ったサンドイッチをご紹介。本物の栗からだと、とっても大変なので、市販のむき栗とマロンクリームを使って作ります。
モンブラン風フルーツサンド
『パンのトリセツ』には、この記事のトップ画像に使っているモンブラン風クロワッサン(45ページ)を掲載しています。この「モンブラン風」と称したクロワッサンサンドには、下から順に、市販のマロンクリーム、ホイップクリーム、甘栗のラムシロップ漬けがサンドされているのですが、これらの具材を使ってフルーツサンドを作ってみよう!と思いました。市販のむき栗を使うので、思い立ったらいつでも作れるというのも利点です。
モンブラン風フルーツサンドを作る
甘栗のラムシロップ漬け
むき栗……80g
水……100ml
砂糖……50g
レモン汁……2~3滴
ラム酒……大さじ1
ホイップクリーム
生クリーム……50ml
砂糖……5g
マロンクリーム……70g
食パン(角食/6枚切り)……2枚
食パン選び
食パンってどんな生地でも長方形の型に入れて焼けば、「食パン」になるそうです。そのため、ちまたには様々なタイプの食パンが存在しているとか。『パンのトリセツ』の52~53ページでは、池田さんが食パンをタイプごとに分類し、グラフを使ってわかりやすく説明してくださっています。今回ご紹介する「モンブラン風フルーツサンド」には、生のまま食べたくなってしまうような、プレーンな食パンがおすすめです。具体的には、フレッシュな「生食パン/高級食パン」。そんなお店近くにない!という方には、今、セブンイレブンから出ている「ふんわり食感のセブンブレッド」でもおいしくできます。ブリオッシュ食パンになってくると、ちょっとリッチ過ぎるかもしれませんが、お好きな方はそれでもOKです。
食パンの厚さは?
フルーツサンドは10枚切りや8枚切りといった、薄めの食パンで作るのが一般的ですが、「モンブラン風フルーツサンド」は6枚切りがおすすめです。具材と同じくらい、パンにもボリュームがあった方がおいしくなります。
甘栗のラムシロップ漬けを作る
先のクロワッサンサンドの「甘栗のラムシロップ漬け」はホールのままシロップで煮ますが、このフルーツサンドの場合、①サンドをカットするときに切りにくい、②10分程度の加熱時間では、栗の中心までしっかり甘味がつかない、という理由から、刻んでからシロップで煮るようにします。
1 / むき栗は5mm~1cm角に切ります。
2 / 小鍋に水、砂糖、レモン汁を入れて中火にかけ、ときどきかき混ぜながら砂糖を煮溶かします。 *レモン汁は必須、なければお酢でも可です。入れないと、溶けた砂糖が結晶のようにかたまってしまいます。
3 / 2が沸騰したら1を加え、クッキングシートで落としぶたをして、弱火で約10分煮ましょう。*必ず弱火で。そうしないと、焦げることがあるので注意しましょう。
4 / 3の液体にとろみがついたら、落としぶたをとり、ラム酒を加えて鍋をゆすります。落としぶたなしで弱火で2~3分煮詰め、火から下ろします。
5 / 4を容器に移して直にラップをかけ、室温に置いておきましょう。栗が生温かくなったら、ザルなどに上げ、シロップを切ります。引き続き、完全に冷めるまで置いておきましょう。
組み立てる①
1 / ラップを食パン2枚を重ねたものが覆えるくらいの長さに切り、中央にパン1枚をのせ、マロンクリーム70gをバターナイフやゴムべらなどを使って、均等に塗ります(すみません、パンの形が後半と違っていますが、マロンクリーム70gを塗っています)。
2 / 1の上に完全に冷めた甘栗のラムシロップ漬けを均等に広げ、デコボコができるだけなくなるように、ゴムべらなどで平らにします。
ホイップクリームを作る
*マロンクリームや甘栗のラムシロップ煮が甘いので、生クリームは砂糖を加えずに泡立ててもよいのですが、砂糖を加えないと生クリームがダレやすくなるため、加える方法をとっています。入れるか入れないかはお好みで。
*砂糖はコクがあって栗にも合うきび砂糖(商品名)を使用していますが、砂糖の種類はお好みで。
1 / ボウルに生クリームと砂糖を加え、電動泡立て器の先(本体にセットしていない状態のもの)でよく混ぜ、砂糖を溶かします。
2 / 1の底を氷水(私は氷の代わりに保冷剤使っています)を冷やしながら、泡立て器のあとがつくくらい、かために泡立てます。
組み立てる②
1 / マロンクリーム、甘栗のラムシロップ煮をのせた食パンの上に、ホイップクリームをのせ、栗とのすき間を埋めるように均等に広げます。
2 / 1をもう1枚のパンではさんで軽く押します。2枚のパンのすき間も埋まるように、側面にバターナイフなどを当てながら、はみ出ているクリームをきれいに整えます。
3 / 全体をラップでしっかり覆い、冷凍庫に最低5時間入れます。
4 / 3がしっかりかたまったら、ラップを外し、耳を切り落としてから4等分に切ります。
5 / 4が乾かないようにラップをかけ、室温に約1時間置いて解凍しましょう。*約1時間というのは室温が25℃の場合の目安です。寒くなってきたら、温かい部屋での解凍をおすすめします。
モンブランの話
「モンブラン風」とうたっているので、モンブランについて少し。モンブランはもともとイタリア生まれで、1620年頃にフランスにもたらされたそうです。細く絞り出したマロンクリームで覆うという今の形を考え出したのは、モンブランが看板商品のパリの老舗サロン・ド・テ「アンジェリーナ」。写真左が、コロナの前にパリで撮影したアンジェリーナのショーケースになります。左が定番のモンブランで、その隣の濃い緑は「ピスタチオ味」。
フランスのモンブランは、土台としての焼きメレンゲ、シャンティ(=ホイップクリーム)、マロンクリームから成り、ときどきマロングラッセや栗のシロップ煮を砕いたものが入っています。ですから、ご紹介したサンドたちを「モンブラン風」と命名したわけです。
前回の池田さんの「マロンクリーム運動会」の記事で、フランス産のマロンクリームの食べ方に、「栗にはベリーの香りがあるので、カシスやラズベリージャムもいいですね!」とありましたが、この組み合わせは、フランスのスイーツ界では比較的ポピュラーなもの。パリのパティスリ Des Gâteaux et du Pain[デ・ガトー・エ・デュ・パン]のパティシエール、クレール・ダモン女史は、カシスと合わせたMont-blanc Cassis[モンブラン・カシス]を考案していますし、今パリで大人気のパティシエ 、セドリック・グロエ氏は、モンブランにブルーベリーを合わせています。
栗×ベリーの私のおすすめは、えぐみが強めのカシスやブラックベリーでしょうか。冷凍の実をパラパラとちらしてサンドしたり、ジャムをサンドしたり(その場合、マロンクリームよりも先にパンに塗ること)、「モンブラン風フルーツサンド」にも応用できそうですね。
もうひとつ。今はもうほとんど見かけないかな?と思うマロンクリームを使ったデザートがあります。パリで暮らしていた頃、近所のビストロにあったMont-blancです。それはあのモンブランではなく、フロマージュ・ブラン(ヨーグルトようなフレッシュチーズ)にマロンクリームをのせただけ。食べてみると、マロンクリームの濃密な甘味とコクが、フロマージュ・ブランの酸味やミルキーさと相まって、絶品のデザートに。簡単なので、家でもよく作っていました。「モンブラン風フルーツサンド」のホイップクリームを、『パンのトリセツ』の59ページに載っている自家製フロマージュ・ブランとホイップクリームを合わせたクリームで作ってもおいしいと思います。
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