腹八分目
火星人の私は、地球人の歴史書をペラペラめくっていた。そこには、地球人がいかに愚かだったかが克明に記録されていた。
「おいおい、また食べ物を捨ててるぞ!」
地球人の映像を見て、私は思わず声を出してしまった。彼らは、お腹がはち切れんばかりに食べ物を詰め込み、それでもなお、残った食べ物をゴミ箱に捨てる。まるで、食べ物が無限にあるかのように。
「まったく、あの星の人たちは、どうしてこうも愚かだったんだろう?」
同僚の火星人が、私の横で首をひねっている。彼は、八本の足で地球の模型を指さしながら言った。
「きっと、彼らは、八分目の満足を知らなかったんだ。もう少しだけ、足るを知っていれば、滅ぶことはなかったのに。」
私は、彼の言葉に深く同意した。地球人は、宇宙という広大なキャンバスに、自分たちの文明という美しい絵を描いていたのに、それを自ら消し去ってしまった。
「まあ、いいさ。私たちが、彼らの失敗を繰り返さなければいい」
私は、地球の歴史書を閉じた。そして、窓の外の赤い大地を見つめた。
「私たち火星人は、地球人のように、欲望に振り回されることなく、自然と調和し、他の生命体と共生していく道を歩んでいこう」
私は、そう心に誓い、再び地球の歴史書を開いた。
欲は満たされることなく、満たされたと思うとその器は大きくなるのです。それは価値観の成長と反比例するのです。欲を満たそうとするのではなく八分目で抑えるのが欲との付き合い方です。欲を無くすことは好きを無くすことになるのです。
この言葉の深読みと、日々の生活への応用
「欲は満たされることなく、満たされたと思うとその器は大きくなるのです。それは価値観の成長と反比例するのです。」
この言葉は、人間の欲というものが、一度満たされても、また別の何かを欲しがってしまうという性質を持っていることを示しています。そして、この欲求が満たされる度に、私たちが求めるものはより大きなものへと変化していく、つまり欲の「器」が大きくなっていくことを意味しています。
これは、一見するとネガティブなように思えますが、別の側面から見ると、人間の成長や進化の過程を表しているとも捉えられます。つまり、私たちは常に何かを求め、新しい価値観や目標を手に入れようとすることで、自己を成長させていると言えるのです。
「欲を満たそうとするのではなく八分目で抑えるのが欲との付き合い方です。」
この言葉は、欲を完全に否定するのではなく、程よく抑えることの重要性を説いています。すべての欲を満たそうとすると、キリがありませんし、かえって不幸になってしまうこともあります。八分目で抑えるということは、ある程度の満足感を得つつ、新しい目標に向かって進むための心の余裕を持つということです。
「欲を無くすことは好きを無くすことになるのです。」
この言葉は、欲と好きは表裏一体の関係にあることを示しています。何かを好きになるということは、それを手に入れたい、もっと深く知りたいという欲求を持つことでもあります。欲を完全に無くしてしまうと、好きなことへの情熱も失われてしまう可能性があるのです。
日々の生活への応用
これらの言葉は、私たちの日常生活において、どのように活かしていくことができるでしょうか。
物欲との付き合い方: 最新のガジェットやブランド品など、物欲に駆られて衝動買いをしてしまうことがあります。しかし、本当に必要なものなのか、それとも一時的な満足感を求めているだけなのか、よく考えてみましょう。
自己成長: 新しいスキルを習得したり、目標を達成したりすることで、自己肯定感を高めることができます。しかし、常に完璧を求めるのではなく、小さな成功を積み重ねていくことが大切です。
人間関係: 他人との比較をやめ、自分のペースで生きていくことが大切です。周りの人から認められたいという欲求は、時に私たちを苦しめることがあります。
仕事: キャリアアップを目指して努力することは素晴らしいことです。しかし、仕事だけに人生を捧げるのではなく、趣味や休息の時間も大切にしてください。
まとめ
「欲」という概念は、私たちの人生において避けて通ることのできないものです。大切なのは、欲と上手に付き合うこと、そして、本当に大切なものを見失わないことです。この言葉たちを心に留め、自分にとっての「幸福」とは何かを深く考えてみましょう。