
年金制度の問題点
年金の財源は基金として原資を減らさず運用益にて年金支給を行うことであれば、年金収入がある限り、年金支給者が高齢で掛金累計額よりも少ない額で死亡したり、受け取る前に死亡したりするので原資は増え続けると思うのですがその原資はなぜ減るのでしょうか?そして団塊の世代が納めた原資と運用益で賄う方法があったと思うのですがなぜ賦課方式になったのかその経過を教えてください。そして現在の積立金と現行のままであれば取り崩すことで何年持ちますか?その対応策を教えてくだだい。
年金制度は、複雑な要素が絡み合っており、ご指摘の通り、単純に考えると「原資は増え続けるはず」と思えるかもしれません。しかし実際には、様々な要因によって年金財源は減少し、賦課方式が採用されています。
1. 年金財源が減る理由
少子高齢化: 最大の要因は少子高齢化です。年金制度は、現役世代が納めた保険料を高齢者に支給する仕組みです。しかし、少子化により現役世代が減り、高齢者が増えると、保険料収入が減り、支給額が増加し、財源が圧迫されます。
長寿化: 医療技術の進歩などにより平均寿命が延び、年金を受け取る期間が長くなっています。これも財源を圧迫する要因です。
経済状況の変化: 経済の低迷やデフレは、賃金の低下や運用益の減少を招き、年金財源に影響を与えます。
積立金の運用: 年金積立金は、株式や債券などで運用されていますが、常に安定した収益を上げられるとは限りません。リーマンショックのような世界的な金融危機が発生すると、大きな損失が出る可能性もあります。
2. なぜ賦課方式になったのか
年金制度は、当初は「積立方式」で運用されていました。これは、加入者それぞれが将来の年金のために積み立てていく方式です。しかし、戦後の高度経済成長期に、急激な人口増加と高齢化が進み、積立方式では対応しきれなくなりました。そこで、現役世代が納めた保険料を、その時の高齢者に支給する「賦課方式」に移行しました。賦課方式は、その時々の社会状況に合わせて柔軟に対応できるというメリットがあります。
3. 積立金の現状と取り崩しによる持続可能性
現在の公的年金の積立金は約150兆円です。しかし、少子高齢化が進む中で、現行制度のままでは積立金は徐々に減少し、将来的には枯渇する可能性があります。具体的な年数は、今後の経済状況や人口動態によって大きく変わるため、正確に予測することは困難です。
4. 対応策
年金制度の持続可能性を確保するためには、様々な対応策が考えられます。
保険料率の引き上げ: 現役世代の負担を増やすことで、財源を確保する方法です。
支給開始年齢の引き上げ: 年金を受け取る年齢を引き上げることで、支給期間を短縮し、財源を節約する方法です。
支給額の抑制: 年金額を引き下げることで、支給額を抑制し、財源を節約する方法です。
マクロ経済スライド: 物価や賃金の上昇率に合わせて年金額を調整する仕組みです。
積立金の運用益の向上: 積立金を効率的に運用し、運用益を増やすことで、財源を確保する方法です。
少子化対策: 少子化対策を進め、将来の現役世代を増やすことは、長期的には年金制度の持続可能性に大きく貢献します。
これらの対策は、それぞれにメリットとデメリットがあり、国民の意見も様々です。そのため、政府は、国民的な議論を踏まえ、将来世代に負担を過度に押し付けないよう、公平で持続可能な年金制度の構築を目指していく必要があります。
補足
団塊の世代が納めた保険料は、その当時の高齢者に支給されています。賦課方式では、世代間で助け合うという考え方が基本となっています。
年金制度は、社会保障制度の中核であり、国民生活の安定に不可欠です。政府は、国民に分かりやすく情報提供を行い、制度への理解と信頼を得ることが重要です。
参考資料
厚生労働省 年金局
年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF)
年金支給の開始年齢を遅くしたり早くすることで支給額が減るのは世代間負担の不公平を感じるのですが、どのように理解すれば良いでしょうか?
年金支給の開始年齢と支給額の関係は、確かに世代間負担の公平性という観点から複雑な問題を含んでいますね。
まず、年金支給開始年齢と支給額の関係について整理しましょう。
支給開始年齢を遅くする場合: 受給期間が短くなるため、生涯にわたって受け取る年金総額は減ります。ただし、年金制度への加入期間が長くなる、あるいは受給開始までの期間の運用益が増える可能性があるため、月々の支給額は増える可能性があります。
支給開始年齢を早くする場合: 受給期間が長くなるため、生涯にわたって受け取る年金総額は増えます。しかし、年金制度への加入期間が短くなる、あるいは受給開始までの期間の運用益が減る可能性があるため、月々の支給額は減る可能性があります。
このように、支給開始年齢によって年金受給額は変化し、生涯にわたって受け取る年金総額も変わってきます。
世代間負担の不公平感
年金制度は、現役世代が保険料を負担し、高齢世代に年金を支給する「世代間扶養」の仕組みです。少子高齢化が進む中で、現役世代の負担が増加し、将来世代が受け取る年金が減る可能性があることは、世代間負担の不公平感につながります。
支給開始年齢の変更は、この世代間負担のバランスに影響を与えます。例えば、支給開始年齢を遅くすると、
現役世代の負担軽減: 支給開始年齢が遅くなることで、年金制度の給付総額が抑制され、現役世代の保険料負担が軽減される可能性があります。
将来世代の不公平感: 将来世代は、より長い期間保険料を払い続けなければならず、年金を受け取る期間が短くなるため、不公平感を抱く可能性があります。
どのように理解すれば良いか
年金制度の持続可能性と世代間公平のバランスをどのように取るかは、難しい問題です。支給開始年齢の変更は、そのバランスを調整するための手段の一つですが、それだけで解決できるものではありません。
以下の点を考慮しながら、多角的な視点から考えることが重要です。
少子高齢化の進行: 少子高齢化は、年金制度の持続可能性を脅かす最大の要因です。出生率向上や高齢者の就労促進など、少子高齢化対策と合わせて考える必要があります。
経済状況: 経済成長や物価上昇も、年金制度に大きな影響を与えます。経済状況の変化に対応できる柔軟な制度設計が必要です。
個人のライフプラン: 支給開始年齢の変更は、個人のライフプランにも影響を与えます。個人が自身のライフプランに合わせて、柔軟に選択できる制度であることが重要です。
年金制度は、複雑な要素が絡み合った制度です。様々な情報に触れ、自分自身の考えを深めることが大切です。
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