ゲームのメニュー画面でBGMが小さくなるやつ
ゲームタイトルによっては、インゲーム中にメニュー画面を開くと、BGMの音量が小さくなることがあります。このような仕様は、どのような意図で実装されているのでしょうか。
メニュー画面でBGMの音量が小さくなると、プレイヤーに対してどのような効果があるのか列挙してみました。
プレイヤーの注意を引く
BGMの音量を下げることで、プレイヤーはメニュー画面を開いたことに気づきやすくなる。視覚・聴覚の両方からリアクションを返すことで、プレイヤーの注意をメニューに向けさせる。
なぜBGMの音量を0にしないのか
BGMの音量を0にした場合、プレイヤーの注意を強く引くことができるが、ゲームの雰囲気が崩れてしまう可能性が高い。音量を小さくすることで、ゲームの雰囲気は維持しつつ、プレイヤーの注意をメニューに向けさせている。
注意力の分散を防ぐ
人間の注意力には限界があり、同時に複数の刺激に対応する能力には限りがある。BGMの音量が大きいと、プレイヤーの認知処理の一部がBGMを聞くことに使われ、それ以外のタスクに対する注意力が下がってしまう可能性がある。音量を下げることで、このような音による注意力の分散が減るので、プレイヤーはメニュー内の情報に集中しやすくなる。
感情的な反応の抑制
ゲームのプレイ場面によっては、音楽がプレイヤーの感情に大きな影響を及ぼし、ゲームプレイの興奮度を高めたり、特定の感情を誘発していることがある。そのような場合でも落ち着いた状態でメニューの操作が行えるよう、BGMの音量を下げている。
操作感の向上
BGMの音量を下げることで、メニュー画面の操作に関わるサウンド(カーソルの移動音、決定音等)が聞き取りやすくなり、操作感の向上(操作ミスの防止)に繋がる。
一時停止の信号
BGMの音量を下げることで、ゲームの動作がスローもしくは一時停止していることを示す信号として使われている。
メニュー画面との「距離」
ゲームのメニュー画面は、ゲームの物語やアクションから一時的に離れた「別の空間」と考えられることがある。このメニュー画面への遷移をプレイヤーがゲームの世界からある種の「距離」を置く行為とみなすと、メニュー画面を開いた際にBGMの音量を下げることは、物理的な距離が音の大きさに影響するという現実世界の法則を模倣することになる。
この模倣を取り入れることで、プレイヤーに対して、ゲームの世界とメニュー画面との間にある「距離」を意識させることができる。
没入感の向上
ゲームの世界とメニュー画面との間に「距離」を設けることで、プレイヤーはゲームに戻るときに、ゲームの世界へと「近づく」感覚を体験する。これにより、プレイヤーがゲームの世界に再び没入する際の体験の向上に繋がる。
リアリズムの向上
プレイヤーはメニュー画面という非現実的な要素に対しても、現実世界の法則が適用されていることが感じ取ることができ、リアリズムの向上に繋がる。
あとがき
こうして列挙してみると、音量調整一つをとっても、様々な効果があることが分かります。この記事ではBGMの音量のみに焦点を当てましたが、ゲームによってはメニュー画面でBGMに何かしらエフェクトが掛かったり、シームレスにBGMが切り替わるなど、各タイトルによって様々な取り組みが行われています。
みなさんが普段プレイするゲームでも、メニュー画面に遷移する瞬間に注目してみると、何か新しい発見があるかもしれません。この記事を読んで興味が湧いた方は、一度確認してみてはいかがでしょうか。
それでは次回の記事で。
noteに新しい記事を投稿する気力が湧きます。