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HIYORI BROT 塚本久美さんに憧れてパン職人になった私 その二


塚本さんはとても楽しそうにパンを作っている人だった。

彼女のパン職人としてのあり方はとてもおもしろかった。
「旅するパン屋」というコンセプトのパン職人。ただパンを作るだけではなく、自分が旅をする期間というのを設けていた。全国各地のあらゆる生産者の元へ向かい、食材探しの旅に出て、インプットする時間に当てているのだそうだ。彼女の働き方は、私にとってのパン職人という常識、固定概念を覆した。

パン職人で独立というと、自分のお店を待ち、そこでパンを作って売るというのが一般的だとされている。当時、ネット通販で販売している人もそんなに多く見られなかったのに、それに加えて旅するパン屋。そんなことが可能なのか、と。同じパンを作る仕事であるにも関わらず、他の人とは異なり、こんなに楽しそうにパンを焼いて、自分のスタイルを貫いている人がいるのかと衝撃を受けた。
塚本さんという存在を知った途端何故かわからないけれど、ワクワクの様なそんな何かが込み上げてくる感覚があったのを覚えている。
こんな働き方ができるのであれば、とパンを作る仕事にほんの少し希望が見えてきた瞬間だった。

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