不安な夜は

夜に悩んでしまって、考え込んでしまって寝られなくなることは
誰にでもよくあることである。
歌やドラマや映画、アニメなど、どこにでも、
なんにでも出てくるような描写でありふれた出来事である。
せめてこのつらさが特別なことだったら良かったのにと思う。
何か具体的な悩みの原因がある場合も、
特に理由無く、漠然とした不安に襲われて寝られなくなることも、ある。
答えのないことを悩みだしたらきりがない。
それでも何も考えないようにとか、違うことを考えようとしてみても
上手くいったためしがない。
「もう今はそのことで頭がいっぱいだ」と今夜を苦しみ切ることを覚悟する。
夜に悩むというのは、鍋に入れられて、弱火でじっくりコトコト煮こまれるような苦しさがある。強烈な一撃ではなく、じわじわ効いてくるつらさが
夜の間ずっと続くのだ。苦しい感情のまま頭の中でグダグダ議論して
憂鬱にあぶられ続けるのが我慢できなくなると、
youtubeとかSNSを見ながら、現実逃避しがち。
そしたら案外時間が経っていて、いつのまにか外が明るくなってきている。
私はこんなに考え込んでいたのに何事もなかったかの様に
朝になっていたのだ。
私の思いとは関係なく、朝は来るし、鳥も鳴き始めて
新しい一日が勝手に始まる。
私の生活に関係なく、地球は回転し続けている。
広い銀河の中のとんでもなく大きい周期の中の極めて小さい一瞬の出来事の中に私がいる。
私が悩んでいたことはその程度のことだったのだ。

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