ダメと言われるとやりたくなる
子どものから大の天邪鬼。末っ子で甘やかされていたのもあるが本当にじゃじゃ馬っ子で周りの大人はさぞ大変だっただろうと本当に申し訳なく思う。わがままだし、永遠のイヤイヤ期だし、あぁ字面だけでも面倒臭そうだ。
性分だから仕方ない
そんなことを振り返っても元来、生まれつきだから治すことなんて到底無理。ただ知らない人の前では違う。あまり親しくない人の前では「外面よし子」を極めていた。世間では「頭がいい。素直。面倒見がいい。」そんな3点セットで語られることも多かった。
そう、私は典型的な内弁慶。こんなサタンの子どものような私でも「あなたはそのままでいい」と言ってくれる人がいた。そんな数少ない人たちの前では相変わらずサタンの子のままだった。
最高の相棒
そんな私に悪知恵をたくさん教え込んだ人がいる。それは父だ。父は自分も頑固で意地っ張り、末っ子気質。似たもの同士のわたしたちは本当に仲良しなのだ。(喧嘩をすると大変だが)
父が教えてくれた「親父飯」は通常ダメと言われるものばかり。でもやりたくなるのが天邪鬼。これもそれも全部父譲りと言っておこうではないか。
親父飯
朝ごはんは父が食べさせてくれた。食べさせてくれたと言っても小学校にあがると自分で食べていたが。
そんな父が教えてくれたのは「ねこまんま」だ。ご飯にお味噌汁をかける。父と私の間では「お味噌汁ぶっかけご飯」と呼ばれていた。朝ご飯の定番のこの二つを合わせて合わないわけがないのだ。スルスルとかきこみ支度をするとなぜか朝のルーティンもスルスルと進んだ。元箱入り娘の母の中で最大の禁忌であるこのグルメは母がいない朝ごはんでしか味わえない代物だった。
父はやばい食べ物を他にもたくさん知っている。私のお気に入りは「バター醤油ご飯」。熱々の炊き立てご飯にバターを埋めて少し溶けるのを待って上から醤油をたらり。もうこの世の中で一番美味しいと言ってもいい。
あとは「ハムマヨペッパートースト」トーストを焼いたら一旦取り出しマヨをかけ、ハムかベーコンを乗せ二度焼きをし仕上げにペッパーをかけるだけ。昔はマヨが苦手だったので見ているだけだったのに、今なんか毎週のように食べているし。
あと父の料理でやばいのは「スネシチュー」である。我が家の押し入れに長らくしまってあった圧力鍋。これを使いこなすのは元厨房アルバイト経験のある父だけ。ある寒い日の夜にスネ肉でブラウンシチューを作ってくれた。圧力でトロトロになったお肉はほろほろと口の中でほぐれ、その時から私の中で父はシチューマイスターの称号を授与した唯一の人となった。
もう春が感じられるなぁと思った矢先、急に寒くなったここ数日。こんな日には父のシチューが食べたいな。
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