彼女のネイル撮影方法
「綺麗に塗れた!」
仕事から帰った玄関先で、彼女が自慢げに私に手を差し出してきた。
指をじっくりと見た後、言葉を瞬時に探す。褒め言葉を間違えると彼女の機嫌を損なうことは何度も経験済みだからだ。
「良い色!自分で綺麗に塗れるのってすごいね〜」
私の無難な言葉に満足げな彼女はすかさず私に言う。
「写真撮って!!」
ここからが真の試練。写真好きだからこそ撮れる最高の一枚を、彼女にお届けしようじゃないか。
屋外で撮影する
まず大切なのは背景選び。ネイルが目立つようになるべく雑音は画角に入れない。シンプルな背景がネイルを際立たせるのだ。
物撮りとして室内でセットを作って撮影するのも良いが、私が好んでいるのは屋外での撮影だ。
屋外撮影のメリットは自然光だからこそ違和感のない写真が撮れることだ。もちろん室内でも窓際なら自然光で良い写真が撮れるが、屋外では光の種類を選ぶ幅が広い。木漏れ日や日陰などそのときのコンディションに合わせて最適な光を選べる。もちろん、撮影セットや複数の光源が自宅にある人は室内でも自然な写真は撮れると思う。
次に、屋外では奥行きが確保できるためボケ感の強い写真が撮れる。ボケ感が強ければネイルに目線を誘導でき、より印象的な写真を撮ることができる。
家の中に撮影セットがない人は屋外で写真を撮ることを強くお勧めする。きっと面白い発見ができるはずだ。
角度
次に角度。私が重要視するのは光のあたる角度だ。家の中、特に夜間の撮影になると自然光がなくライトのみでの撮影となり、なかなか自然な写真を撮りにくい。というのも、撮影セットなどで複数の光源を使わない限り、コントラストが不自然に強くなってしまうからだ。このことから、個人的にはネイルの撮影は日中の日が高い時間帯がお勧めである。
焦点
次に焦点について。ポーズには特にこだわりはないのだが、個人的には爪全体に焦点を当てるよりも、一つの指に焦点を当てた方が写真として綺麗に仕上がる気がする。(それで彼女が納得するかはまた別の話)
色
次に色。これは背景とも大きく関係する。
淡い色のネイルの場合、自然を背景に写真を撮ると綺麗に馴染んで違和感のない写真になることが多い。
もちろんネイルの色にこちらが口を挟むことはない(できない)ので、ネイルの色に合わせて全体的な写真の色合いや差し色を決めていく必要がある。コツとしてはネイルの色が差し色になるとよりネイルが際立つ。
褒める
最後にネイルを撮る上で1番大事なこと。それは、彼女のモチベを如何に下げないかということだ。
いくら彼女が「撮って!」とって依頼してきたにしろ、カメラマンとして良いものを撮りたい思いが少しでもあるのなら、モデルの機嫌を損なってはいけない。
私の場合、木を掴んだり苔の上に手を置いてもらったりと撮影にかなり凝ってしまう性格のため、「ネイルを撮るだけで良いのに…」と彼女を冷めさせないようにすることも大事なポイントだ。
まとめ
彼女と私の趣味がシナジーを生む。それが私とら彼女にとってのネイル撮影なのである。彼女が好きなことを私の角度から楽しむ。そして、その瞬間を共有する。時には面倒に感じることもあるが(特に良い写真が撮れる状況でない時)、それはそれで彼女が喜んでくれるなら、次の撮影のモチベーションが上がるってもんだ。
だから次に彼女がネイルを「撮って!」と言ってきた時も、僕はできるだけ工夫して、彼女も僕も満足する最高の一枚のためにシャッターを切ろうと思う。