920短編小説シリーズ: 「ゾロと僕」シーズン1: 出会いと絆
短編小説シリーズ: 「ゾロと僕」
シーズン1: 出会いと絆
エピソード1: ゾロとの出会い
都会の喧騒を逃れ、静かな小さな街に移り住んだヒロシ。彼は、古民家を改装し、窓から緑豊かな庭が見える部屋で新しい生活を始めた。毎朝、鳥のさえずりで目が覚める穏やかな日々の中で、ヒロシは少しずつ心の安らぎを取り戻していた。
ある週末、いつものように近くの公園を散歩していたヒロシは、茂みから現れた一匹の猫を見つけた。黒と白のまだら模様のその猫は、警戒しながらも、どこか寂しげな瞳をしていた。近づこうとすると、猫は逃げてしまう。
それでもヒロシは諦めずに、毎日公園に通い続けた。
数日後、いつものように公園のベンチに座っていると、昨日見た猫が再び現れた。今回は少し距離を置いて、ヒロシを見つめていた。恐る恐るポケットから少しだけ猫缶を出してみると、猫は警戒しながらも近づいてきた。そして、恐る恐る缶詰を舐め始めた。
その日から、ヒロシは毎日猫のために少しだけ猫缶を持って公園へ行くようになった。猫は、日に日に警戒心を解き、最後はヒロシの膝の上で眠るまでになった。ヒロシは、その猫に「ゾロ」と名付けた。ゾロの黒いマスクのような模様が、どこか勇敢な侍を連想させたからだ。
ある日、雨宿りをしていたゾロが、ヒロシの家までついてきてしまった。迷子になっているのかもしれないと思い、ヒロシはゾロを家の中へ。暖炉のそばで丸くなったゾロの姿を見て、ヒロシは静かに微笑んだ。この小さな命を、これからも見守っていきたい。そう心に決めたヒロシは、ゾロを家族の一員として迎えることを決意する。
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