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じいちゃん

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じいちゃんのおもひでを語ります
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じぃちゃんのおもひで④

祖父は学がなかった。貧しく、大家族の長男でもあったため、進学は諦めて若くして職業軍人となった。

戦後、帰還してなんとか職にありついたものの、学がなかった祖父はよほど苦労したのだろう。自分の息子、娘や孫たちには十分な教育を受けさせようと、小金を貯め、厳しく促した。

…厳し過ぎたな、今にして思えば。

厳し過ぎて、叔父や従兄弟たちは相次いで脱落…私と妹だけは、祖父の切なる願い「大学を出ること」を叶

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じぃちゃんのおもひで③

母方の祖父は、学は無い。しかし、やたらスペックが高かった。ちまちま小金を貯め続けてひと財産築く計画性と継続性、衛生兵時代に培った自己流の傷病治療、手習いを受けていないのに達筆、習っていないのに弾ける算盤、なぜかできる半田付け、自己流で磨いてのど自慢にまで出た八木節、その辺で拾った竿を直し、その辺に落ちていた鳥の羽で毛針を作っての渓流釣り、細い体のくせに強い喧嘩、いつからやっていたのか畑仕事、変電所

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じぃちゃんのおもひで①

じぃちゃんのおもひで①

後から自分の文章を見ると、やたら堅く、理屈っぽいと気づく。本来、そんな堅い人間ではないので、今回は少しはっちゃけつつ、身内の恥を晒そう。

母方の祖父の話。私が12歳のときに他界した。

この祖父、偏屈で、酒癖が悪くて、口も悪くて…しかし、一族郎党皆頼っていた。なぜなら、この祖父、ハイスペック&レジェンドじじぃだったから。

書き出したらきりが無いので、ひとつ挙げるなら、『腹巻き』である。この腹巻

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じぃちゃんのおもひで②

亡くなった祖父は戦時中、衛生兵だった。そのため、民間療法とも言い難い独自の治療法を確立していたのだ。

何を聞いてもだいたい痛そうで怖かったのだが、最たるものが「チックで消毒」だ。

チックとは、言わずもがなだが、男性用の整髪料。最近はあまり使われていない。

母の弟、つまり叔父が昔、落ちていたクギを踏み抜いてケガしたときのこと。

クギを踏み抜く=破傷風感染
という立派な死亡フラグだったため、幼

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