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塔短歌会掲載歌 2023.10
10月号では、若葉集にて鍵前8首掲載でした。
選者の永田淳さんより、選歌後記で「絵葉書」の歌にコメントいただきました。
また8月号の「アコースティックな多摩川のへり」の歌を渡部ハルさんより評をいただきました。読んでいただけているんだと改めて実感が湧きます。
ありがとうございました。
屋内の光は遠く他人ごと信用金庫は青くつやめく
右側の頬だけを陽に当てさせてしぶきをみてる夏のクロール
知っている路地につながっていたことを知らない前にもう戻れない
まなうらに深夜の海のさざなみを 無理して眠らなくていいから
雨降れば月を匿うようにして両ポケットにオレンジ二つ
潮風の小さな窓を置くように壁に飾った君の絵葉書
宛先を書きかけたまま薄暮れにかたむくペンの影は伸びゆく
なんとなく余白が多すぎる気がするキッチンに箸転がっていて
月詠に取り組むまで十首を作って送るのはそんなに難しくないと考えていました。うたの日では毎日出していたし(今は休止中ですが)、投稿の短歌もNHK短歌、角川歌壇、たんたか短歌、西瓜への連作など色々と手を広げていて、その都度考えたりストックから出したりと四苦八苦しながらですがやっていたので、きっとやれるだろうと思っていました。
でも、でも、月詠は全然違う(ような気がする)。
自分にとても近いところの歌を改めて見つめ直しているような気がします。
反面、この距離感を求めていたのかもしれない。
載ったら嬉しい、採用されなかったら悔しい、と言うこととは別で、自分にとって必要な歌なのかを問い直しながら考えている自分がいます。
月詠をどうするか考えている10月14日。そろそろ出さないと……。