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組織の迅速な意思決定のためのピープルアナリティクスと今後の展望~Daniel West & Davide Green対談~ -後編

前半では、ピープルアナリティクスや人事の歴史、データと人事の関わりについて特集しました。
後半では、実際にピープルアナリティクスのメリットと考えるべき点について取り上げます。

このノートを通してわかること


このノートを通して…
➀組織のネットワーク分析の活用事例
②パナリットの存在意義
を知ることができます。

組織のネットワーク分析(ONA)の活用事例


昨今のコロナ環境を契機としてリモートワークを導入した企業が増えてきました。しかしそのような環境下において、組織間や従業員同士の関係性が見えづらくなったという声もよく聞きます。そこで効力を発揮するソリューションの1つが、組織のネットワーク分析(ONA: Organization Network Analysis)です。

あるグローバル企業では年に200-300人の新卒採用を行なっていました。例年は入社と同時に社長の直接講義から始まり、6ヵ月間のオンボーディング研修を経て所定の部署に正式配属となっていました。この間、毎日マネージャーが新卒社員の動向を注意深く観察していましたが、リモートワーク環境下ではこのような研修やマネジメントを行うのは非常に難しくなりました。「今年はやめよう」や「来年から再開すればいいでしょう」といった意見も見受けられました。
ここで例年通りの研修を続行すべきかを判断するにあたり、ONAが大きく貢献しました。メール・チャット・カレンダーのメタデータ(会話の内容ではなく、会話の送受信者と送受信日時)を分析することで、1年前の新卒社員と本年の新卒社員が入社から6ヵ月間でどのような人間関係を築いているかを比較しました。データを見るまでは、リモートワーク環境下にある本年の新卒社員は人間関係構築に苦慮していると思い込んでいましたが、実際に検証してみると、昨年度とほぼ変わらず上司や関連部署のメンバーと良好な人間関係を築いていることが分かりました。この結果から、リモートワーク下でのオンボーディングが上手くいっていると考え、グローバルでもリモート研修を取り入れるように決断することができました。
もちろん、リモートで成功するかしないかは各社の業務内容に依存すると思います。しかし、ONAを使うことでリモートワークやリモート研修がしっかりと履行できているかどうかを見極めることができます。

またUberでは約100人の退職者のslack(チャットツール)でのコミュニケーションを分析した結果、有意義なネットワークが劇的に減ることが退職に大きく影響を与えていることが分かりました。退職の3-4ヵ月前のコミュニケーションデータを見ると「プロジェクトや日常業務で関わる人々とのコミュニケーションの輪が、心から信頼できるごく数人の友人にまで減少する傾向」が、ほぼ全ての退職者に共通して見られました。なおこうしたネットワークの減少は、退職した当事者にとっては退職の1ヶ月程度前から起きていたと自己認識しており、認識と実態のタイムラグも確認されました。

リモートワーク環境下で人材の定着や関係性構築に不安を持たれる企業も多いと思いますが、以上の事例からも分かる通り、組織や従業員同士の関係性を可視化するONAは、組織の健全性や風通し、また従業員のエンゲージメントをよりリアルタイムに確認する手法として、非常に優れているといえます。またパナリットでは、上記のような組織のネットワーク分析(ONA)に基づく示唆をリアルタイムに把握できるプロダクトを提供しています。

パナリットの存在意義


パナリットは2017年9月にシンガポールで創業されました。その目的は、あらゆる会社がデータに基づく人事意思決定を可能にすることにあります。創業の後押しになったのは、1つはSaaSツールの流行、もう1つは従業員数全体に対する人事部の割合の低下というトレンドでした。
SaaSツールの普及により、導入コストを抑えながら、企業の奥底に眠っていた膨大なデータを高速で蓄積・処理できるようになり、今まで気づかれていなかった組織や従業員に関する示唆を導く環境が整ってきました。
またそれと同時に、人事部が占める従業員比率は相対的に薄まってきました。しかし従業員の研修やオンボーディングなどに対して、必ずしもすべての企業がリソースを活用できているわけではありません。テクノロジーの発達によって人事の人数割合が減ることは、本当に良い傾向と言えるのでしょうか?

例えばある人事BIツールの売り文句は「人事管理チームの半分が不要になる」というものでしたが、そのツールの管理のために、既存の人事要員を削減した人数と同じ数の人員を再度雇わなくてはならないという、致命的な欠陥をきたしていました。人事部の人員が削減できてコスト効率が改善するというのは確かに魅力的でしょう。しかし実際には、人事の本質的なミッションであるビジネスの成果をあげることに注力することも必要です。従業員体験の改善を通じた、従業員のパフォーマンス向上はその1つです。決して、人員を削減してコスト効率を高めることだけが重要ではありません。

パナリットが投資家にピッチをしたときに「非常に面白いアイデアだ。これで人事部の人員削減ができるようになる」と言われたことがあります。これは本望ではありません。パナリットの目標は、経営層と現場の管理職と人事部の関係を改善することで、組織変革に一枚岩となって取り組めるようにすることです。目先のコスト削減よりも、組織がより多くの付加価値を創造できるようにすることこそがパナリットの使命だと考えています。

人事はデータサイエンティストになるのではなく、データの原理を知り、理解し、収集して、どのように使うかを従業員に明示することでデータを利用できるようにすべきです。そして何よりすべきことは、データ分析で得られた示唆から、組織課題の解決に選択と集中を行って取り組むことです。社員を適切に教育し、従業員体験を最適化するために、経験や勘だけでなくデータも活用しながら組織改善に取り組むことが求められるのです。

まとめ

まとめると
①組織のネットワーク分析は、従業員のエンゲージメントを可視化したり、職場の人間関係の良し悪しを把握することができます。これにより、従業員同士の繋がりが見えにくいリモートワーク環境下でも、組織の健康状態を把握しやすくなります。
②パナリットは、人事部の削減のためではなく、組織のより良い意思決定をデータの力で促すことをミッションとしています。

ここまで読んでいただきありがとうございました。今後ともパナリットをよろしくお願いいたします。少しでもご興味を持って頂いた方は、こちらまでお問い合わせ頂ければ幸いです。
※今回の対談のリンクはこちらになります。

パナリットサイト:https://panalyt.jp/
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