三角定規座
ときどき紐だったときのことを思い出す。とても楽しかった。また戻りたい。女だと同じ状況も紐と呼ばれないから、なんか男とはいろんなものになれるのだなとその点、男とは恵まれた存在なのだ。誰かの金で昼によくプラネタリウムに行った。それからそこを出てみるとまた一日が始まって、そんな日常なので、すぐ歳終えた。楽しい時は早く過ぎる。辛い時はよく覚えていない。僕のもっとも辛かった時期は高校のときで、毎晩落武者の夢をみて金縛りにあっていた。友達づきあいしたくなくて、放課後は井戸を見に行っていた。三角座りが嫌で、三角座りのときの垂れ下がったふくらはぎの肉感が嫌で、学校に行きたくなかった。高校の時はそのことしか覚えていなくて、あとは真暗闇。暗闇より紐時代のプラネタリウムの方が数倍きれい。高校と職場って環境がよく似ているらしい。高校で人間関係がよく築けないと、社不になるらしい。社会人とは未熟な高校生の団体。完璧な僕にはこの社会は馴染めない。社会科の教科は得意で偏差値で県から表彰されたこともあるのになと皮肉なものだ。成績と世渡りはマッチしない。だから高校時代の暗闇に穴を開けまくり、光を注ぎたい。そうやってそこから紐を通し、いち早く自分の首を楽しく短く過ぎる時間で絞めたいのだ。
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