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「恋するスピリチュアル 第二部」あの日の夢②

「新里さーん、新里さーん」
そう呼ぶ声で目が覚めた。

ぼんやりした頭で見ると、真っ白い壁と、ザワザワとした人の波があり、一瞬、ここがどこだか分からなかった。

ああ、そうだ、病院だった…。

と、そこがどこだか、ようやく思い出した。

三日前に、智子は、故郷のM島に帰って来ていた。
そして、今日は、父の栄吉を伴って、島で一番大きな総合病院へ来ていたのだ。

栄吉は、智子が島へ帰ってきた時から、胸が苦しいと訴えていた。

受付で手続きをしてから、随分待たされたので、智子は、ついうたた寝をしてしまったようだ。

智子は疲れていた。
ここ数年、色々な問題が降りかかっていたから。

そして、今、この少しの間に、どうして、あんな古い記憶の夢を見たのだろうと訝しがった。

「新里さん、どうぞ」と再度、看護師さんに促され、智子は慌てて栄吉を待合室の椅子から立ち上がらせると、診察室に入っていった。

そして、チラリと隣の診察室を見た。

そう、私があんな夢を見たのは、この〝名前〟を見たからだった。

そんな事を考えていた。


つづく

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「恋するスピリチュアル」第一部
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