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なぜあの人は母親や恋人に怒りをぶつけるのか?【ぱりこラジオ第6回】

毎週金曜20時にSpotifyで配信している「ぱりこラジオ」。
こちらは日常で気になる素朴な疑問や悩みを、心理学や私自身の経験をもとに解説していこうという番組です。

最近noteに書きたいことが多すぎるのと、確定申告の作業のせいで(笑)、全然リアルタイム告知ができていません。
第6回は2月9日(金)に配信しました。
 ↓

直接再生できるリンクがあるの今日知りました……(笑)。
Spotifyに移動して聴いたりコメントしたりしたい方は、下記リンクからどうぞ!↓

※聴く前の注意事項について記事を書きました!↓

そして今回も「音声を聴くのが苦手、文字で読むほうが楽」という人のために、文字版もご用意いたしました。
※前回分を先に読みたいかたはこちらから↓

それではどうぞ!

◆Q.なぜあの人は母親や恋人に怒りをぶつけるのか?

私はかつて、母親や自分の恋人など精神的に距離の近い人へ怒りをぶつけまくる精神疾患を患っていました。
症状が和らいだり消えたりすることを医療用語で「寛解かんかい」っていうんですけど、6年前にその状態になって今に至ります。

心療内科への通院や、向精神薬による薬物療法は一切行っていません。
尊敬するカウンセラーさんのセミナーにはたまに行きましたけど。
あとはただひたすら独学で心理学を学び、自分自身を見つめ直すことで、病気を克服しました。

治療中の勉強で学んだこと、そして心理カウンセラーになってかつての自分のような相談者さんのお話を聞いて考察したこと。それらを元に、今日はお話をしていきます。

* * *

いい歳をして大声で怒鳴り散らす人って、どこの世界にもいますよね?
私は主に自分の出身地の市役所でよく見かけていたんですけど(笑)。

あれと似たようなことを、母親や自分の恋人に向けてやっていたんですよね。

でも外では絶対にやらないようにしていたので、それこそ市役所で怒鳴り散らしている人とかはすこぶる軽蔑していました。
「人前であんな風に大声を出すなんて恥ずかしい」
「あんなに叫んだって状況は何も変わらないのに、馬鹿なんじゃないのか」と。

自分も人前じゃないところではやるくせに(笑)。

この短いエピソードで、かつての私が母親や自分の恋人など精神的に距離の近い人へ怒りをぶつけていた理由が3つほど見えてきます。

ひとつめは、社会に向けてはいい子を演じていたから。
ふたつめは、自分を抑圧していたから。
みっつめは、身近な人だけはものすごく信頼して甘えていたから。

順に解説していきましょう。

DV——家庭内暴力をふるう人は、外ではめちゃくちゃ良識的な人が多い、と聞いたことはありませんか?

ためしに検索サイトでDVする人の特徴を検索してみてください。弁護士さんのサイトなどで「外面がいい」「外面の良いタイプが多い」と書いてありますから。

こういう人は、社会から良い評価を受けることに異常な執着を燃やしています。もちろん、過去の私もそうでした。症状が和らいだとはいえ、今もそのケは多少あるのでしょう。

しかし世の中には色んな価値観の人がいますから、社会全体から良い評価を受けるのは不可能です。自分が関わっている、狭い社会の中だけであっても。

その不可能を可能にしようというのですから、ものすごく精神的負担がかかり、疲労困憊します。

睡眠不足の時や疲れが残っている時は、普段よりちょっとイライラしやすくなりませんか?
それと同じで、社会から良い評価を受けようと頑張っていると疲れ切って、イライラしやすくなるのです。

しかしそのイライラを外の社会で出すわけにはいきません。良い評価がもらえなくなりますからね。だから、“社会の評価と関係ない、外の社会に自分の不評をばらすおそれのない、内側の人間”で憂さ晴らしをするわけです。

もし母親や恋人が「私の社会的評価」を揺るがす立場の人間だったら、私はきっと怒りをぶつけなかったでしょう。
とはいえ実際は恋人周辺のグループから見切りをつけられて孤立したりもしたので、社会的評価は揺るがされていたんですけどね(笑)。

ちなみに、DVをする人を例に出しましたけども、私は母親や恋人に対して“身体的暴力”は一切行ってないので、そこのところはご留意ください。

ふたつめは、自分を抑圧していたから。
先ほどの市役所の例で言うと、私は本当は怒鳴り散らしている人の肩を叩いて、「馬鹿じゃないですか、恥ずかしくないんですか」って言ってやりたいんですよ。

でもそうしたい自分を抑えつけました。
だって、その人が逆上して殴りかかってきたら嫌だし。
市役所の職員さんに「いやいや、余計なことするなよ」って思われたら嫌だし。
私まで馬鹿の仲間入りをしたら格好悪いし。

私は元々日常のささいなことが気になる体質なんですけど、いつもそれを抑圧していたのです。
それは悪いことの注意だけでなく、良いことでもそうです。

目の前で困っている人がいても、声をかけて手伝ったりすることができませんでした。
そういうのも抑圧になり、「なぜ私はあの人を助けてあげられなかったんだ」という精神的負担になります。

そういう自分自身への不甲斐なさに対するストレスを、やはり内側の人間で発散していたのだと考えられます。

みっつめは、身近な人だけはものすごく信頼して甘えていたから。

私は社会から良い評価を受けたかったけど、社会の人は誰も信用していませんでした。
みんな少しのことで私に幻滅するし、評価を下げるし、嫌いになって去っていくと思っていたのです。

けど、母親と恋人だけは、何が起きても自分を好きでいてくれる、見捨てないでいてくれると思っていました。いやむしろ、そうであることを確認するために、あんなに異常に怒っていたのかもしれません。
いわゆる愛情の試し行為ってやつですね。

※愛情の試し行為に関する記事はこちら↓

私はどうでもいい社会の人たちに必死で媚を売り、一番大好きであるはずの母親や恋人をないがしろにしていました。

今思うと「逆だろ」と思いますが、不甲斐ない自分が嫌いで許せなくて雑に扱っていたので、そんな自分の大切なものも雑に扱ってしまっていたのでしょう。

考えてみれば、市役所で怒鳴り散らす人も市役所職員に甘えているのかもしれません。

国や県や市がこの苦しい状態から自分を救ってくれると実は本気で信じていて、甘えている。そんなに国家や行政を信用しているなんて、むしろ微笑ましくさえ思えてきます。
そんなわけないのに。

今日のテーマに似た話は、「マンガでわかる!なぜあの人はキレ散らかすのか」という本でもご紹介しています。Amazon Kindleでも販売していますので、気になる方はぜひ下記からご覧くださいね。

(※Kindle Unlimited会員のかたは無料で読めます。
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初回からずっと友人にもらったテーマでラジオを続けていますが、次回もやはり友人からもらったテーマ「いじめられやすい人とは?」についてお話ししたいと思います。

そろそろネタ切れしそうなので、リクエストとか募集したほうがいいかなと思っているところです(笑)。

それではお届けしたのは、漫画家カウンセラー・伊藤巴でした。
ごきげんよう、さようなら。

※次の回は2月16日(金)20時に配信済みです。↓

(3/8追記)文字版もアップしました!↓

◆関連記事

母親や恋人など近しい人に怒りをぶつけてしまうのは、「境界性パーソナリティ障害」または「自己愛性パーソナリティ障害」の症状のひとつと言われています。

病気の診断まで出ていなくても、そういう傾向が強いかたもいます。
詳しくは下記の記事でどうぞ。

下記は有料記事です。

精神障害とまで行かずとも情緒不安定な傾向を持った方のための、月額制マガジンも配信中です。

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本編で電子書籍版を紹介した本ですが、実は紙版もあります。
(紙のほうが人に紹介しやすかったり、内容が頭に入ってきたりしやすいなと個人的には思っております。→根拠はこちら)

●「マンガでわかる!なぜあの人はキレ散らかすのか」https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2028015
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こちらの本は「恋愛・結婚」をメインに怒りについて解説していますが、親子関係でも充分に応用が効きます。


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