そのダイバーシティ、ちょっと足りません
ダイバーシティという言葉は、だいぶ市民権を得たように感じます。といいつつ、いまだに女性の活躍推進に留まっているという会社が多い気もしますが…。
ダイバーシティを把握・推進するうえで、従業員の年齢層ごとの把握というものがあります。多くの企業では、次のような指標を把握しているのではないでしょうか。
18歳~29歳 800人
30歳~39歳 1,000人
40歳~49歳 1,400人
50歳~59歳 1,500人
つまり、コアな労働力です。
しかし、ダイバーシティを公開するうえで、これでは不十分です。年齢層毎の従業員の分布を把握する場合、0~17歳も公開する方がよいのです。なぜなら、児童労働を含まない点を明示するためです。
日系企業ではあまり馴染みがないかもしれませんが、例えば海外に工場をもっている企業や、海外子会社に物流を委託している企業などは注意が必要です。ESGの観点で、グローバルの投資家はこういう点を見ている(他社と比較している)からです。
また、高年齢雇用安定法(70歳までの就業機会を確保するための努力義務)のもと、60歳以上の従業員についても開示した方がよいでしょう。
その他、ダイバーシティはキャリア(中途採用)や仕事に対する考え方、価値観、ライフスタイルなども含みます。最近ではテレワーク従事者の割合などもあります。
このあたりを「他社が開示したから仕方なく開示する」というネガティブな姿勢ではなく、「今は褒められた数字ではないが、今後改善したいので開示します」というポジティブな姿勢の方が好感をもたれます。
コロナ禍で労働環境やキャリア観は激変しました。ダイバーシティを把握・推進する絶好のタイミングともいえるでしょう。