BTS/Stay Gold が、小説のなかで流れたら
まるで発声練習のように、ピアノのうえで自由に舞うファルセット。地声でノリをつくり、喉を絞めたラップが後を継ぐ。子守唄も歌えそうな伴奏に、《今宵も眠らない》というリリック。
よりオーソドックスな男声のトーンでフロウが続く。3回し目になると、ドラムマシンは休憩タイム。ここで、それこそ子守唄のようなファルセットのメロディ。
太く響くタム音をきっかけに、タイトルを歌いあげるサビへ。繰りかえす毎にキーが上がり、高まっていく感情。《夢の中でも》《探しあてるよ》と、カウンターのように入る日本語が切実だ。
《君に触れたくて》と落ちつかせた後、サビの2回し目へ。長い坂を下るようにメロディがまとまると、ブレイクを挟んで連呼されるタイトル。単純なリピートにも力がこもる。さらにAメロへ戻るブレイクには、《いつまでも forever》と日英のミックスワード。
あらためてラップパートを担当するのは、また別のメンバーだろうか。オシャレな度数で高音のハーモニーが重なる。
子守唄ライクなBメロに、薄い「U」のコーラスが加わる。わかりやすい構成のまま2度目のサビへ。
《Stay gold》と主旋律が上がっていく一方、低音パートは下へ下へ。日本語で《愛は果てなく》《光を放つ》と歌う声の個性がマンネリを防ぐ。
《いつまでも forever》からCメロへ。静かなピアノが4分音符をつづけ、3度目のサビへ。ヴォーカルのパートがまた増え、ハモリや合いの手で重層的な音の塊に。ハイトーンによるフェイクも見事にハマる。
最後の坂を下る。ピアノの静けさのなか、冒頭のラップを受け、《今宵眠らせない》という宣言。夜は、だれかを眠らせても、眠らせなくても歌になる。