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映画を言葉に!音声ガイドから見た映画③~監督編~
「GWはうちでドキュメンタリーを観よう!」略して「#うちドキュ」特集記事、第6弾は監督と音声ガイドの深~い関わりをご紹介します。
前回の記事はこちらから↓
映画のバリアフリー制作でPalabraが大事にしていること、それは…
「当事者性」と「作品性」
「当事者性」のある音声ガイドとは、音声ガイドを使う視覚障害があるユーザーが聞きやすいということ。
「作品性」のある音声ガイドとは、映画が伝えていること、演出、製作者の意図を正確に伝えるということ。
この「作品性」を守るために不可欠なのが映画製作者の方の監修です。
中でも映画の演出に直接かかわる監督に音声ガイドを確認していただくことで、監督の思いを映し出した音声ガイドを作ることができます。
特にドキュメンタリーは監督の視点で見る映画ともいえるので、音声ガイドを使うことで よりテーマに近づくことができます。
つまり…
ドキュメンタリー映画と音声ガイドは相性抜群!!
しかも#うちドキュの作品には監督ご自身がナレーターやディスクライバーを担当された作品があります!
監督による音声ガイドは映画に溶け込むようで、音声ガイド付きで観ることでより物語に入り込むことができます。
今回は監修に加え、ナレーター・ディスクライバーも担当された『もうろうをいきる』の西原孝至監督がコメントを寄せてくださいました。
『もうろうをいきる』は、監督ご自身が原稿を書き、ナレーションもした画期的な作品なのです!
▼▽西原孝至監督コメント▽▼
『もうろうをいきる』2017年/西原孝至監督
©2017Siglo
【音声ガイドを自分で書くにあたり思ったこと】
撮影を通して感じたことを「プチ情報」として入れる形に挑戦してみたいと思いました。
音声ガイドとしての独立した伝わりやすさと「オーディオコメンタリー」的な要素、その両方を目指す形はできないだろうかと、模索しました。
【音声ガイド制作で難しかった点】
ひと口に映像を言葉にするといっても、フレームの中にあるどの現象を言葉に置き換えるのかの、その選択が難しかったです。
【ナレーションして思ったこと】
本編でもナレーションを担当していたので、ある視覚障害の方から「少し混乱した」とお言葉を頂いたこともありました。
ナレーションと音声ガイドのすみわけについては、今後の課題として考えていければと思っています。
***
映像を言葉にするという音声ガイド本来の役割はもちろん、「オーディオコメンタリー」としての側面も意識された音声ガイド…。
聞いてみたい!聞かずにはいられない!
また、『東京干潟』『蟹の惑星』の村上浩康監督は、
「自分で作った作品だから、自分で語らないと」と自らナレーターを担当されました。
「東京干潟」「蟹の惑星」 2019年/村上浩康監督
©TOKYO HIGATA PROJECT
▼▽村上浩康監督コメント▽▼
バリアフリー版の製作は、私にとって映画という表現を再認識させていただく貴重な機会となりました
映像を言葉で語ること、音声を文字で表記すること、そこには曖昧さを残す余地はなく、映画が何を描いているのかを明確に提示する必要があります。作者である私ですら気づかなかったこと、あるいは無意識に目をそらしていた点がどんどん明らかになっていきました。まさに目からウロコが落ちる思いでした。
製作会議では、どうすればより映画が伝わるのか、より干潟を体感していただけるのかと議論は尽きませんでした。その成果は確実に反映されていると思います。
今回、音声ガイドについては私自身が声を担当させていただきました。プロではない私が担当することでお聞き苦しい点もあるかとは思いますが、自分の映画を語るのは己の責任だと自負して務めさせていただきました。
バリアフリー版の製作スタッフ、モニターの皆様には、難しい取り組みに果敢に挑戦いただき、心から感謝の意と敬意を表します。皆様に映画を楽しんでいただければ幸いです。
***
音声ガイドを通して映画に映し出される監督の思いに接してみてはいかがでしょうか?
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