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ピーコとの対話

会社の後輩がそろそろ産休に入るらしい。昨年、私と同時期に結婚した同期も年末には育休をとるという噂が耳に入ってきた。
上司は育休をとって貰えるようにいろんな人に取材をして社内新聞に載せるようにと指示があった。

どれも喜ばしいことなのに、心の底でギュンッと引っ張る何かがあって、辛かった。小さい子がわがままを言って気をひこうとしている感じ。この気持ちをピーコちゃんと名付けて見ようと思う。

ここからはピーコちゃんに質問。
「どうしてピーコちゃんは辛い気持ちなの?」
「だって、同じ年代なのに私は妊娠しようともしていないし、したいとも思って居ないもん」
「なんで妊娠しようとして居ないとダメなの?」
「なんか置いていかれそうな気がする」
「置いていかれたら辛い?」
「なんか寂しい。あと、なんか子供がいると自由がなくなる感じがする。私は自分のペースで何かをするのが好きだから」
「そっか、ピーコちゃんのミッションはなんですか?」
「自由がなくなるのを防ぐことかな?」
「自由がなくなるとどうして嫌なの?」
「人に操作されている感じがする。やりたくないことをやらされている感じ」
「なるほどね、自分で決めたことをやりたいんだね」
「うん。なんかね、辛かった自分を思い出しちゃうのかも、子供を見てると。」
「もしかしてピーコちゃんのミッションって、子供の時の辛かった気持ちを思い出さないようにするって事かな?」
「もしかしたらそうかもしれない」
「ピーコちゃんがそのミッションをやめたら私ってどうなると思う?」
「あのね、辛いこと思い出すし、自分の子供にも同じように辛い思いをさせてたらどうしようって不安になると思う」
「ピーコちゃん、今までずっと私を守ってくれてありがとう。私は28歳になったよ。妹には子供がいて、たまに一緒に遊ぶよ。それからね、私人間としても成長したんだよ。いろんな人とお話ができるようになったし、困ったら助けてって少しずつ言えるようになったの。結婚もしててね、旦那さんは私のことが大好きで、サポートもしてくれるよ。子育ても好きな人だと思うな。だから大丈夫だよ。」
「えー、ほんとに?また不安になるのは嫌だよ」
「そしたらね、不安な気持ちをちゃんと受け止めるよ。旦那さんにも話したりできると思う」
「すごいじゃん。そんなことできるようになっているとは思わなかったな」
「うん、でもまだまだなところもあるから、これからも隣で見守っててくれるかな?」
「うん、もちろんいいよ。」
「ありがとう。またお話ししようね。お話しできてよかったよ。」

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