フェス出展者さんに聞く②車の中で見つけたよ。赤ちゃんのいろんな好奇心![トヨタ車体株式会社 ミニバンチーム 薮田葉子さん]
赤ちゃんと一緒に、車のある生活を楽しむことが伝わる展示
フェスの会場でひときわ存在感を発揮していたのが、赤研メンバーのキャラクターのステッカーが貼られた白いミニバンです。たくさんの人が車に乗って、乗り心地を確認したり、車で写真を撮影したり…。
車の後部座席に赤ちゃんを載せると、カーナビの画面で様子を見ることができます。乳児用のベビーシートは後ろ向きに設置されることが多く、運転席・助手席どちらからも赤ちゃんの様子を確認しづらいのですが、これは、すごく便利です!!
「赤ちゃんと一緒に、車のある生活を楽しむ」ことがイメージできる展示でした。
息子のぽこ太郎は、はじめて乗る車なのにもかかわらず、おとなしく座っています。ときどきシートベルトに手をやってみたり、エビぞりをしてみたりと、はじめての場所を体で理解しようとしているよう。ぽぽちゃんを持ってきてもらうと、それにも、「これはなんだ…?」と興味を示していました。
そのほか、少し暗い車内に眠くなってしまう赤ちゃんや、設置されているカメラに気が付いて手を伸ばそうとする赤ちゃんの姿が見られたりなど、一言で「車の中で過ごす赤ちゃん」「ベビーシートに座る赤ちゃん」といっても、さまざまな好奇心の発露を見つけることができます。
こちらを持ち込まれたのはトヨタ車体さん。トヨタグループのボディーメーカーとして、製品の企画・開発・製造に取り組んでいる企業さんです。(トヨタ車体さんは、今回のフェスに2チームが参加しているため、便宜上こちらのチームを「ミニバンチーム」と呼びます)。
親子が安心して移動するためのヒントは好奇心にあり!?
出展の感想について、トヨタ車体の薮田葉子さんにお話を伺いました。
薮田:私たちのチームのミッションは、既存商品とともに、将来的な車のラインナップを考えていくことです。そんな中、ご縁がありまして、赤ちゃん研究所さんと出会い「ファミリー層がよく選ぶミニバンで、子育て初期ファミリーがもっと安心して移動できるためのヒントを探せないか」と考え、今回フェスに参加しました。
そこで、事前に社内の育児経験者に声がけし、車移動に関する生の声を集めたところ、「運転中の赤ちゃんの様子が見えないことが心配」だとか、「車内に赤ちゃんを置き去りにする不安」があるという声が上がってきました。
ーそれを仮説として、フェスの会場で実際の親御さんからのお声を集められたわけですね。
薮田:はい。フェスの会場に車両の実物を持ち込み、来場者の方に助手席などに座っていただいて、直接お話を伺うことで、仮説を検証する環境を作りました。2日間で約50組へのインタビューを実施しました。
赤ちゃんにも、実際に後部座席のベビーシートに乗っていただきました。フェスの前には、「泣いてしまうのでは…?」と心配していたのですが、本当に意外にも、皆さんすんなり乗ってくださって、ほとんど泣く子がいなかったのがうれしかったですね。
ー「赤ちゃんの様子が見えないのが不安」という仮説についてはどのような回答が得られましたか?
薮田:カーナビのモニターで後部座席の様子を見られるようにして、お話を伺ったのですが、「泣いているときよりも、静かになったときのほうが不安」というお声が多かったのが発見でしたね。信号で車が止まった時に、スマホで後部座席の様子を撮影して状況を確認しているという方も散見され、「目で見ること」によって安心を得られているんだなという事実も得られました。
ーもう一つの不安である「車内置き去り」についてはいかがでしたか?
薮田:そちらに関しては、車内置き去りに関する悲しいニュースを聞いて、どう思われたかということを伺いました。
「考え事をしていて、うっかり置き去りにしてしまうというようなことがあるかもしれない」というお答えをいただいたり、自分だけでなく、パパやおじいちゃん、おばあちゃんが置き去りをしてしまうかもしれない、という不安感をインタビューから導き出すことができました。
ーこれをきっかけに、その不安に対する答えを具現化されるのですね。赤ちゃん研究所と一緒にイベントを実施したことについてはどのような感想を抱かれましたか?
薮田:赤ちゃんのプロである、赤ちゃん研究所の方と一緒に赤ちゃんと接することができたので、フィードバックがその場でいただけたことはとても有意義だったと感じています。赤ちゃん研究所さんの、赤ちゃんや、仕事そのものへの丁寧な寄り添い方には、感じるものがありました。私たち自身「赤ちゃんは泣いてしまうだろう」というように、いろいろなことを思い込んでいたなと気づかされました。
赤ちゃん研究所さんとは、出会えたこと自体奇跡でしたし、普段の当社では絶対にありえない流れで、想像できない場所に連れてきてもらえたと感じています。小板さんをはじめとする、赤ちゃん研究所のメンバーの方に引っ張っていただいたこの半年ほどの動きについて、感謝でいっぱいです。
ー今後どのような活動をなさっていこうと考えていますか?
薮田:車は、人によって価値が全く違っていて、純粋に移動のための手段としてお考えの方がいれば、持つことがステータスというお考えの方もいらっしゃいます。子育てしている方は、どちらかというと道具としてお考えの方が多いように思いますが、移動をすることで、生活の幅が広がったり、豊かさも広がると思うので、そこのお役に立つことができればいいと思います。
車を作るのには、私一人が頭を悩ませてもどうにもならないぐらい、本当に社内外の多くの人が関わっています。ですが、何か一つでいい、生活のお役に立ちたいという気持ちで、これからも車づくりに関わっていきたいです。
それと、今回のような経験ができたのは、社内のごくごく一部の人間なので、これをもっと広げていければと思っています。
ー車があることで、赤ちゃんとの生活も広がっていきますね。フェスで見られた赤ちゃんのいろいろな車の中での過ごし方は興味深く感じました。少し暗い車内のベビーシートで、眠くなってしまう赤ちゃんや、好奇心いっぱいにいろいろと触ろうとする赤ちゃんなど、いろいろな赤ちゃんの姿が見られましたね。
赤ちゃんのご機嫌は、ママとパパの安心につながるはずなので、車の中で赤ちゃんの好奇心を引き出して、楽しく過ごせるような仕掛けを考えることができれば、より親御さんもドライブを楽しめるようになるかもしれません。今日はありがとうございました。
(まとめ、聞き手:プレーンテキスト 鹿野恵子、聞き手:clockhour 黒川成樹)
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