いったいどこにたどりつく?赤ちゃんの好奇心MAPへの道①
蓄積された赤ちゃんの気づきを整理して、伝えたい!
ーー「赤ちゃんの好奇心MAP」を作ると聞きました。地図とは?どんなものなのでしょうか?
きむら:もともと赤ちゃん研究所は、「ピープル赤ちゃん観察メソッド」を社外に伝えるために生まれた団体です。私たちピープル赤ちゃん研究所は、これまで70回以上のワークショップを実施してきました。結果、500人を越える赤ちゃん観察で得た膨大な好奇心の気づきが蓄積されています。
まずは、その好奇心をきちんとピープル社内の人が「おもしろがれる」形で還元したいなと考えています。社内に還元することで、将来的には子供の好奇心に特化したピープルらしいおもちゃづくりにつながると思うんです。
「マップ」とは言っていますが、形式はまだ未定で、ピープル社員が面白がれるような形でこの「気づき」を整理していこうというのが今回のプロジェクトです。将来的にはピープル社員にも更新してもらえるような形のものを想定していますし、何らかの形で、一般の方にも見てもらえるようなものにしたいなと考えています。
こいた:サクラダファミリアみたいな…。ずっと更新し続けるものになるのではないかと思います。
きむら:でもまだ10月10日に何をするのかは全くの白紙です!
ーー白紙!このタイミングで!あと1か月ありませんよ(困惑)。
こいた:もしかすると「サクラダファミリアを建てるための土地を買いました!」みたいな発表になるかもしれません。
ーーで、今日は部内のミーティングなわけですね。
こいた:はい。これまでの気づきをすべてデータ化して印刷してみました。
ーーすごい。赤ちゃんが埋もれるぐらいの気づきがありますね。
こいた:全部で616枚あります。
ーー「ゆらゆらゆらすのが楽しい!」「マットのしわをいじいじ」「どこをなめるのがいいのか知っている」「キラキラが好き」…たのしいですね~。
こいた:でも「好き」という表現は私たちの仮説に過ぎないのでNGワードにしようと思っていて。これからは気づきを残すために、「つぶさな行動観察+仮説」という形にしてみようと考えています。
ーー形を決めたわけですね。「指先でぶどうをさわさわするよ。慎重に観察する」「そろばんの音に反応して、手を伸ばした。音が出るものが気になる」「おともだちがもっているリモコンが気になる。じっと見ている」。なるほど~。観察と仮説という感じですね。
きむら:先週のワークショップで実際にこの形を使って気づきのカードを書いてみたら、より深い観察ができるようになり、丁寧に言語化できてよかったんです。
こいた:何度「好き!」と書こうとしたことか…。
プレイリストを作ることでキュレーターの個性も見えてくる
こいた:それで、この616枚マジ膨大!な「気づき」を、ピープルの人に楽しんでもらうためにどういう入口を作っていくかを考えているところです。
ーー地図にするわけではないんですね。
こいた:はじめは、手、目、口、足とか部位や触るとか舐めるという行動に分類して「マップ」にしよう思っていたんですが、「さわりながら見る」だと「どっち?」という迷いが出てしまうし、見た人ごとに興味関心の度合いに差がつかなさそうだなとも感じました。つけたタイトルに正解・不正解も出てきてしまいそうだったので、違う方向性を模索しています。
それで、観察者ならではの視点で「テーマ」を軸にくくった方が、人によってその時々の好奇心の重心の違いで、見たいものが違ってきて面白そうだと思い、「気づき」から「テーマ」を見つける作業をしてみたんですね。
たとえばある「気づき」とある「気づき」が似ているときに、それはどういう理由なのか、考えて「テーマ」をつけてみると。
Apple Musicとか、Spotyfiにプレイリストってありますよね。「夏のご機嫌ドライブ」とか、そんな感じで。
そうすると、研究員の視点がタイトルに表現されるので、「こいたのリスト」とか、「きむらのリスト」みたいなものが作れるんじゃないかと。分類する側も楽しいし、読む側も楽しめる。これなら不正解もない。軽い説明もつけてみたりして。で、プレイリストを作ってみたら37ほどできあがりました。
ーーそういう整理の方法なら、みんなのプレイリストを見てみたいし、私もプレイリストを作ってみたくなりますね~。
ペルソナをたて、具体的な使い方まで落とし込む
そして、赤ちゃん研究所の研究員の皆さんは、お話合いにどんどん入っていきました。
こいた:ピープル社員には、どんな風に使ってもらえるかなぁ。1人だと偏るし…3人ぐらい具体的に使ってもらえるかどうかをイメージしてみたいよね。
あおき:Aさん!(即答)。前から活動に興味を持ってくれていたので…。
はなむれ:いいと思う。
こいた:Aさんが使ってもらえるようなものだったら、会社の他の人も使ってくれそう。Bさんとかは?
きむら:私もそう思った。
こいた:Cさんとかも…。社歴もバラバラでいい感じでは?
(かの:ペルソナに具体的な3名の社員さんを出すあたり、メーカーの商品開発らしさを感じますなあ…)
はなむれ:このマップって、一人で見るものなのかな?みんなでわいわい見るものなのかな…?
こいた:「一人でポチポチ見る」前に、「作る」にも参加してもらいたいよね。
はなむれ:企画のネタを探しているときに使うかな。取材の話が舞い込んできて、話すネタを探すときとかにも使えるかも。
きむら:たとえば「赤ちゃんが電卓を好きな理由」についての取材だったら、「平べったい」とか「ぽちぽち」とかのリストが見られると便利だね。
あおき:たとえば、企画のAさんだったら「こういうおもちゃを作りたい」と考えているときに、それを肉付けするためのアイデアを探したりするのに使いそうです。
こいた:新しいプレイリストが更新されたときに見るかも。新着の通知とかあると便利だね!
(かの:おやおや。みなさん乗ってきましたね)
きむら:最近、Instagramのおすすめ欄をざっと見て、流行りを追ったりしているんだけど、そんな感じで使いたいから、自分で気になる気づきをリスト化できる機能があるとよさそう。
あおき:人のリストに、自分のおすすめの気づきを追加できたら面白いかもしれませんね。
はなむれ:プレイリスト編集会議が定期的に開催されていて、そこに来てもらうのはどうかな?
こいた:「Aさんが編集会議に参加してくれて、プレイリストが3つできたよ~」という案内が届くとか。
はなむれ:ワークショップを1回やると、100ぐらい気づきが増えるので、ピープル社員に、そのワークショップ自体にも参加してもらうといいと思う。
こいた:基本的には公開されるけど、非公開のリストもあるとかね。
一般の人に向けては、そのままだと面白くないから、エピソード化したものを作っていくといいかも~。
(かの:ゼロからイチが出来上がる瞬間ってこういう感じだなぁ…。うーんと悩んで、収束したものが、発散していく感じがする)
わいわい話し合いってモブプログラミングみたいに決めていく
こいた:ステップワンは社内向けに案内して、ステップツーで社外向けにかみ砕いてコンテンツ化するとよさそうだね。
はなむれ:これを10月10日にどうしようか。プロジェクトのスタートを発表する?
こいた:10月10日にプロジェクトを発表するだけではなくて、ちゃんと何かやりたい。
はなむれ:ワークショップとか?
きむら:いつものワークショップだとあまり特別感はないよね。
こいた:ここで編集会議をすればいいんじゃないかな。その方があとあと説明がしやすそう。
将来的に、菅さん(※)とかにも入ってもらいたい。
はなむれ:ロゴとかかなって思っていた。名前があって、ロゴがあって、どんなプロジェクトかの説明があって、Coming Soonみたいな。
こいた:目的とか用語とかは、今決めちゃおう。
(※注:菅俊一さん 多摩美術大学 統合デザイン学科の准教授。「まなざし」「観察の練習」などの著書がある。2014年までピープル株式会社にて乳幼児向け知育玩具の企画開発に携わっていた。ときどきこのnoteにも登場していただいています)
プロジェクターに投影をしつつ、一つ一つ言葉を選んでいく皆さん。
いわゆる「モブプログラミング」みたいです(3人以上のエンジニアで1つのプログラムを書くこと)。どういう目的なのか、どう表現するのか?を繰り返しわいわい話しあいます。
そこで決まったのは、10月10日に、『赤ちゃんの好奇心MAP』プロジェクト始動!を発報し、1010個の気づきを使って、第一回キュレーション会を実施するということ。
ーーふー、これを決めるまでに2時間ぐらいずっと話し合いしていましたね。これ、午後もやるんですか?皆さん、タフですねぇ…。
こいた:でも時々ぼんやりしたりする時間を入れたりとかもしていますから…。
まさに生みの苦しみ。楽しそうではあるけれども、間違いなく大変です。お互いきちんと前提を共有しようとしていたり、小さな確認をしながら進めていたり。手探りだけども、関わってくれている人へのリスペクトを感じる打合せのシーンでした。
しかし今のようなふわふわの状態で、一体この先、「赤ちゃんの好奇心MAP」プロジェクトはきちんと期日までに形になるのか…?プロジェクトの赤ちゃんは、しっかりと自分の足で立って歩き出せるのか…?こうご期待!
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