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水遊び


私は水をかけてよかった
だからいっぱいかけた

馬はなんにも気にしないようで
どんなに水をかけても
馬が見たい方角をみていた

こんちくしょうこっちを向けよ
と思って角度を変えて
馬のでかい鼻面に水をかける

すると彫刻の馬は
ほんのりと表情を変えて
こちらを見つめた

おじいちゃんぽい
あるいは賢人のような
馬とは思えない瞳が私を見つめたので

私はその顔に水をかけた
私にはそれが許されていた


(資生堂アートハウスのワークショップにおいてペリクレ・ファッツィーニ作「後脚で立つ馬」という彫刻作品に水を好きなだけかけるという体験のあと書いたものです。)

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