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【星涯哀歌9】遥かなる光はすべて天の星【SF詩/過去詩】
あたしは輪廻を信じないのだけれど
ねえ、ジムソン?
へびつかい座ホットラインなら
あたしは信じる
だからある日きっと
あなたからの連絡がくる、と
あたしは信じる
あなたが星からの帰還を果たすまで
あたしには果てしない流れの果てまで時間があるので
軌道エレベータの使い方を学んでおくつもり
たそがれの地球の砦に取り残され
地獄への扉が開くときも
あたしの愛しい娘たちがさざめき歌う
ねえ、ジムソン?
遙かなる光をあなたは目指し
あなたはあなたではない何かに
いくたびも生まれ変わる
でもそれは輪廻ではないの
あなたは変貌し変質し書き換え描き換えられ
あなたでありながらあなたではなくなり
でもほんとうは
あなたが遙かなる光なのです
ねえ、ジムソン?
天の光はすべて星なのだから
あたしは星に祈りを捧げ
あなたへの告白に代えます
※※※
これはどう見ても叙事詩じゃなくて抒情詩ですね。たはは。作中にたくさんのSFが引用されています。引用というかタイトル引用ですが、好きなSFタイトルのパッチワークみたいなものかもしれません。ジムソンは『遥かなる光』の主人公です。
へびつかい座ホットライン(ジョン・ヴァーリイ)
星からの帰還(スタニスワフ・レム)
果てしなき流れの果てに(小松左京)
たそがれの地球の砦(ヘンリー・カットナー&C・L・ムーア)
我が愛しき娘たちよ(コニー・ウィリス)
遙かなる光(エリザベス・A・リン)
天の光はすべて星(フレドリック・ブラウン)