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「植物性肉」市場が拡大する北欧ノルウェーのスーパーは、今

by パケトラライター 鐙麻樹(ノルウェー・オスロ在住)

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Photo:どんどんとバリエーションが増えている、動物性肉の代替品とは?

植物肉の変化のスピードが、すさまじいことになっています。

12年前、私がオスロに引っ越した頃は、ノルウェーはまだまだ「動物性肉なしで料理なんて考えられない」という人が圧倒的に大多数でした。私は小さい頃から野菜のほうが好きで、野菜だけで夕飯を作ることもあったのですが、特に男性たちは「動物性肉」がないお皿が目の前にあると目をぱちくりと丸くしていたのものです。

あまりに奇妙な反応をされるので「私が変なのかなぁ?」と、自分を少数派に感じたものでした。しかし、時代というのは変わるものです。動物、気候、環境のためにと、野菜たっぷりのメニューや植物性のミルク、肉が注目を浴びてきました。

今ではスーパーに行くと動物性肉の代替品となる「新世代・肉」のコーナーができています。ここには、代替肉を世界的に有名にしたアメリカ発の「ビヨンド・ミート」だけでなく、北欧諸国の企業が開発している植物性肉もずらりと並びます。

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Photo:写真の商品は全て植物性の肉!

今までのあたりまえを変える「代替品」たちの力

スーパーの「Meny(メニー)」では、オレンジ色の「FRI FOR(フリー・フォール)」というマークがつく棚が増えています。これは、動物性肉、グルテン、ラクトース(乳糖)、卵などのアレルギー物質を使用していない、様々な代替商品についているマークなのです。メニーでは、このフリーフォールのマークがつく商品がどんどん増えています。

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Photo:ビヨンド・ミートは、今ではスーパーでも当たり前のように売られています。ハンバーガー屋さんなどに行くとビヨンド・ミートを使用したメニューも選べます。

植物性肉はどのように広まっていったか?

企業がお金をかけて広告を増やした効果よりも、元々「植物性肉」が欲しいと思っていた人たちがノルウェーにはそこそこ多くいたことが、人気の理由であると考えられます。「動物性肉のほうが安くて、健康なはずの野菜が高価なのはおかしい」と、食品の価格を決める力の持ち主=政党や政治家に、野菜好きの市民は以前から抗議の声をあげていました。

動物性肉にこだわり植物性肉のことを笑う人は、今でも存在します。同時に、動物性肉を避けたい人も、前からいました。でも、お店には動物性肉ばかりだった。ようやくスーパーの棚に変化が表れてきて、元々存在していたターゲット層がすぐに飛びつき、「需要がある」と感じたスーパーが商品を増やしているのです。どちらの人も喜べるように、選択肢が増えてきているのですね。

「なにを食べるか」が政治的な北欧

「もっと植物性のものを食べる必要性がある」という話題は、政治や選挙でもよく出ます。日本以上に北欧諸国では「何を食べるか」が政治的であり、自分の生き方やアイデンティティを示すものなのです。

私は北欧諸国の選挙を取材する際、政党がどのような食品や飲み物を市民に提供しているかを必ずチェックします。国産?植物性?そういったことで政党の性格が分かってしまうのです。インフルエンサー、学生、若者にも、エコを気にする「グリーン世代」が多いので、インターネット効果も相まって、企業の広告なくとも自然と「新しい肉」は広まっていきました。

「で、美味しいの?」と思い始めている方もいるでしょう。では、どのような商品があるか見てみましょう。

豆とオート麦のミートボール

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Photo:スウェーデンのヴィーガン肉団子

今やスーパーには様々な種類の植物性肉があるので、特定の商品が人気なのではなく、多くのバリエーションの中からそれぞれが選んで購入しています。「VegMe」はヴィーガンシリーズ。商品説明はノルウェー語ですが、お隣の国のスウェーデン産です。植物性肉はスウェーデンのブランドも多いのです。表には「ミルクフリー」「グルテンフリー」「卵フリー」「100%植物ベース」と記載があります。

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Photo:日本語でいう「肉団子」は、北欧ではよく「ボール」と表現します

裏を見ると、トマトソースを使ったレシピの下に「豆とオート麦のボール」と書かれています。ただのオート麦ではなく「グルテンフリーのオート麦」という強調もありました。

また、材料や賞味期限などが書かれている情報欄には「環境」という項目もあり、「パッケージのフィルム部分はプラスチック、カートン部分は紙」とゴミ分別がしやすい表記がありました。エコに敏感な人には良い印象を持たれます。

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Photo:紙の裏にはベリーやブラウンソースと混ぜる別のレシピも

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Photo:調理前の植物性肉団子。見た目は動物性とあまり変わらない

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Photo:フライパンで調理する時に、調味料コーナーに最近仲間入りした「ウマミ(旨味)」も使ってみました

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Photo:お皿はノルウェーのヴィンテージ食器「スタヴァンゲルフリント」

肉団子をナスと一緒にフライパンで焼きながらトマトソースを加え、最後は野菜をトッピング。ごまをかけてみました。私の舌は料理人のように敏感ではありませんが、味も歯ごたえも、動物性の肉団子とは違いが分かりませんでした。

豆と小麦プロテインのハンバーグ

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Photo:数年前のスーパーにはなかった、ヴィーガンのチーズとバーガー肉

VIVERA」というヴィーガンシリーズです。肉団子など3種類ありましたが、今回は「ヴィーガンバーガー」を買ってみました。同じく「FRI」コーナーにあったヴィーガンのチーズも一緒に(こちらもミルクフリー、グルテンフリー、豆フリー、パームオイルなしの表示が)。チーズ、おいしい!

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Photo:材料の73%が豆と小麦プロテイン。残りは赤玉ねぎ、砂糖、ハーブなど

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Photo:パッケージには「おいしい食事に、動物はいらない」と書かれています

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Photo:食器はノルウェーのヴィンテージ食器「フィッギョ」の「クルピエ」という魚シリーズ

フライパンで焼いて、とろりと溶かしたヴィーガンのチーズと一緒に食べました。こちらも動物性の肉との違いは、私にはわかりませんでした。

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Photo:一見、見ただけでは植物性肉とは分からないパッケージ

スウェーデン発「Oumph! Epic Veggie Eating」は、友人宅のキッチンでもよく見かける冷凍食品です。トマトや玉ねぎ、ニンニクと一緒に、大豆プロテインを使用。袋の裏を見ると「おいしくて地球にもよい食事をどうぞ!」と書かれています。

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Photo:開封すると冷凍されていて、このような状態

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Photo:ノルウェーの青色のヴィンテージ食器「スタヴァンゲルフリント」を使って

もう味付けされているので、そのままフライパンで調理をします。野菜を添えてみました。チキンを食べているようで美味しい。

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Photo:元が植物なのか動物なのか、もうわからない

チキンではなく、野菜のナゲット!

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Photo:動物の肉の冷凍食品に見えますが、実は野菜たっぷり

ノルウェー産の「Findus Grønnsaks-Nuggets」は、チキンナゲットではなく、ブロッコリー、ニンジン、じゃがいも、ひよこまめなど、たくさんの野菜で作られたナゲット。冷凍食品なので、オーブンで10分で温めて出来上がり。

FINDUS」の企業サイトを見ると、サステイナブルな取り組みを載せたレポートを公開していたり、食品ロス対策で何をしているか語っていたり、エコな姿勢をしっかりと見せています。

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Photo:Sevanのファラフェルは、ひよこまめとブロッコリーを中心に作った植物性の肉団子。スウェーデン産です

今回ご紹介したのは、ほんの一部。スーパーにはオリジナルの植物性肉など他にも様々な種類が並んでいるので、今後の進化が楽しみなジャンルです。

ビジネスのヒントに。「パケトラ」

by パケトラライター 鐙麻樹(ノルウェー・オスロ在住)


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