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S・A・B・A缶


いつから鯖は、
”SABA”と表記されるようになったのだろう。

2018年の「今年の一皿」にも選ばれた鯖。

これまでも、当たり前のようにスーパーにあった鯖が
ここまで注目されるようになった背景の一つには、
鯖缶パッケージの変化があると思う。


鯖缶の”お洒落化”の走りとなったのは、
Ca Va? 缶」(岩手県産)や「La Cantine」(マルハニチロ)だろうか。

それまで、見事なまでに荒々しいフォントで、
思い切りよく記載されていた「鯖」という文字を、
「SABA」あるいは「Ca Va」と表記したことは、大きな転換点となった。


食卓の準脇役程度であったサバ缶は、
その見た目を変えたことにより、
こだわりの強い主婦層に、
「そのまま食卓に出してもいい」と、思わせることに成功した。

洒落たパッケージに身を包み、
一気に主役級へと躍り出たサバ缶は、
ついには「今年の一皿」という
名誉ある賞の受賞にまで至ったのである。


もちろん
カルシウムやビタミンD、EPA、DHAといった栄養が豊富であること、
水煮やオイル漬けといったアレンジが効きやすいことなど、
本来もつポテンシャルの高さが、
人気の土台となっていることは言うまでもない。


しかし、それまで注目されることの少なかった本来の良さが、
見た目を変えたことによって、再発見された
良い例ということができるのではないだろうか。


さらに、
装いを変えた鯖缶は、
自身の高級化・高価格化にも成功している。

個人的な感覚でいうと、
数年前まで、鯖缶は「100円で買うもの」であった。

しかし思わず手を伸ばしたKALDIのSABA缶は、198円。

およそ2倍の価格である。

これは安い方で、
今では当たり前のように
300円、400円とさらに高価格な鯖缶が販売されている。

価格に応じて、こだわり抜かれた鯖缶となっているワケだが、
こうしたこだわりを存分に発揮できるようになったきっかけも、
パッケージの変化とそれに応じた人気にあると考えられる。




正直、鯖がここまでブランディング上手な魚だとは思っていなかった。
学ぶことは多い。


”SABA” に続くブームを起こす食品は現れるだろうか。


カルディオリジナル さばの水煮 190g



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