
成功法則なんてない
『チェンソーマン』『SPY×FAMILY』『ダンダダン』など、数々の大ヒットマンガを担当する編集者の林士平さん。
ヒットする企画に欠かせない要素って?という質問に対して
「ない、ない、ないですね…わからないからないというしかないですけど、絶対にこれだったら売れるというのは盲目的になるということかもしれないのでないと思うようにしているタイプですね。」
「成功法則を作ったら危ない。セルフ二番煎じが始まってしまう。ヒットするとその法則はもう使えないと思った方がいいんじゃないですかね。」
「わからないからこそ、その瞬間の正解を探し求めている方が健全な気がしますけど。」
「基本的に運が良かっただけだと思うようにしています。ただただ丁寧に丁寧に試行錯誤の量を増やしていくだけ。」
何か成功体験を持ってしまったり、何かを積み上げてしまえばしまうほど、過去の自分に囚われて、縋ってしまうようになる。
体系化によって、これが正解だと思い込んでしまう。
ビジネスもきっと同じで、何かの成功がその場、その瞬間の極めて限定的なものが、魔法の法則になってしまうと、次第に枠が狭くなってしまうのかもしれない。体系化して形にすると、それに縛られて考えられなくなってしまう。
積み上げた成功体験に何も執着せず、常に手放し、ただ目の前のものにだけ集中する。そのために、自分のこだわりを捨て、空虚な器として、丁寧に丁寧に量をこなして試行錯誤していく。
そうした淡々とひたむきに目の前の正解を探し求める姿勢を忘れないでいたい。
そうしないと、すぐに自分は、
何かを学ぶと人に何かを教えられる気がする。
何かの結果を出したり、周囲から認められると、そこからどんどん抜け出せなくなっていく。
そうした名誉とか称賛とか、自己保身とか、承認とか、支配欲とか、全部手放して、ただ目の前のことに向き合い続ける大事さを痛感する。