36歳、はじめて遠近両用眼鏡をつくる。
前回のあらすじ。
ある日突然、激しい目の奥の痛み、頭痛、吐き気に襲われた私。眼科へ行くと、眼精疲労とのことだった。その原因は「眼鏡」にあった!
ド近眼の私は遠用の度の強い眼鏡で、近距離(パソコンやスマホ)を見る生活を続けていて、それは目にとっては「重しを付けてマラソンをしている」状態だったのだ!
新しい眼鏡を作ることを決めたが、果たして―――
前回記事▼
自分の生活スタイルを考え、パソコン用の近用単焦点眼鏡(デスクワーク用眼鏡)と、遠近両用眼鏡の2種類を作ることにした。
まず、近用単焦点眼鏡。
パソコンでnoteを書いたり、スマホでゲームをしたり、タブレットでイラストを描いたりと、近距離ばかりを見る時間の長い私は、それが原因で眼精疲労に襲われたのだから、目から30cm~1mの範囲がよく見えるデスクワーク用眼鏡をかけて、普段作業すればいいわけで。これは必ず作ろうと思った。
で、遠近両用。
これも作ろうと考えた理由の1つに、外出時のことがあった。外出時も絶対にスマホを見るのだ。電車の中でツイッター見たり、知らない道を歩くときに地図を見たり、ポケモンGOをプレイしたり。遠くの景色とスマホの地図を交互を見るのに、いちいち近用と遠用の2本使いは面倒でしょう?
それから、片方の眼鏡がカバンに入っていない! とか、眼鏡ケース自体に入っていない! とか起こったら、もうその日は目にとって負担極まりない1日になる。気分も下がる。
ならば、1本でどちらも見えやすい方がいい。目に優しいはず...
老眼はまだ出ていないけど、うちの両親はそろって遠近両用だし、じいちゃんもばあちゃんもそうだったから、私も結局そのうち かけることになるだろうし、なら今でもいっかーって思って、決めた。遠近両用眼鏡と出会うのは、もう少し先だと思っていたけど。
眼科でしっかり視力検査をして処方箋を出してもらい、眼鏡屋へ行きたい。しかし、眼精疲労真っただ中の私の目では、正しい視力が出ない可能性が十分にあった。そこで、少し期間を開けて疲労が引いてきたと思われる段階で、再度視力検査をすることにした。新しい眼鏡の度数を決めることができたのは、初診から1か月以上が経つころだった。
はじめての遠近両用の度数調整。
「加入度数」という、近くを見るための矯正値を決めなければならないらしい。強い加入度ほど近くが見えやすくなるとのことだが、まずは加入度2.0から体験してみた。レンズを当てて歩いてみる。レンズの上が遠用で下が近用だから、上目づかいで遠方を見て、鼻の頭を見るイメージで近くを見る。
なるほど、近くは確かに見えやすいが、遠くの視界がなんだか気持ち悪い? 目線を動かすと世界が歪む。めまい持ちなので余計クラクラする。これは、無理だ。かけていられないわ。私、遠近両用かけられんの? 一気に不安になった。
それにどうやら、加入度を上げるとそれはそれで、レンズ内で歪みが発生しやすいんだとか。構造上仕方のないことらしい。
「少しずつ、加入度を下げていきますね」
1.5、1.25、1.0・・・加入度を下げるということはつまり、近くの矯正は強くないということだから、今までかけてた遠用単焦点とほぼ同じとかにはならないの? 大丈夫?
「パジャマさんは、1.0か、0.75くらいかな。0.75以下は、あまり需要がないから、0.75がとりあえずの下限だと思ってくださいね」
加入度0.75で、近くは見えやすいが遠くはとたんに見えにくい。なるほど、遠用単焦点とは違う、ちゃんと遠近両用ではあるな。
「では、このレンズで階段を上り下りしましょう」
上下で違う見え方の使い分けを急にしろとは、目も脳も慣れていらっしゃらないから違和感が半端ない。遠近両用を初めてかける人にとって特に、階段を下るのが最も怖いらしい。実際 私も最初、段の距離感が分からなくなって、背筋がゾワッてなった。
「足元はしっかり顎を引いて、遠用で見てくださいね」ということのようだ。おじぎをするような感じで階段を下りる。こんなに深く頭を下げて、階段を注意深く見ながら、両手を広げてバランスを取りながらヨタヨタ歩くのは、幼児だった時以来じゃない? 久しぶり。
うん、これは慣れだ。慣れるしかない。
そして、私の加入度は0.75になった。これで眼鏡を実際に作って、1か月使ってみる。どうも合わないなということなら1回は無料で作り直しができるから、まずは遠近両用に慣れるというのが近近のミッションだ。
「遠近両用を初めてかける年齢が高いと、レンズの使い方に慣れる前に転倒したりして、危険な場合があるんです。だから、遠近両用をかけ始めるなら、できるなら早い方がいいっちゃいいんですよ。ご高齢の方に、急に遠近両用をおすすめするのは、難しいですね」
なるほど、高齢になってから初めて遠近両用眼鏡をかけるというのは、そういうリスクもあるのか。メリットデメリットをしっかりと把握して、自分はどうしたいのか。実際かけてみて、どう感じるのか。見極めたいと思う。
では、処方箋を出してもらって、いざ眼鏡屋へ。