Baby's in black No.2
「お姉ちゃんにいい人がいたとはね」
郵便局員が帰った後に風花は意地の悪い目で姉の千鶴を見た。
「優弥さんはたまにお仕事を手伝ってくれるだけですよ。いい人には違いないけれど」
千鶴はきょとんとした声で答えた。風花はため息をついた。
「あ、そうですか。まぁどうでもいいけど。いや、良くないな。私が必死で世界を飛び回っている時に男の人といい感じになるなんて。私なんてこの間、ボーイフレンドが指名手配犯だったんだよ。その前はマッドサイエンティストだったし」
「フウちゃん。男の人とは慎重にお付き合いしないと…」
「うるさい。お姉ちゃんうるさい」
扉を閉め家の中に入り、千鶴は受け取った郵便の封書をペーパーナイフを使って開けた。
「お姉ちゃん、優弥さんてどういう人なの?運がいい?」
「…フウちゃん、この手紙読んで」
風花は渡された手紙を読んだ。体が急に冷たくなり時間が止まり息苦しくなった。強い風が吹いて窓ガラスをガタガタ鳴らした。風花は千鶴の顔を見る。姉が考えていることは自分が考えていることと同じだろうと思った。