本日は天気晴朗なり6
石と意志はなかなか動かないものである。筆者はもし、生まれ変わったらというお決まりの質問には「人になんかなりたくない。石にでもなりたい」と答えるようにしている。意味はない。人の世界より疲れないと思うからだ。
丸澤圭一郎は一抱え程の石を動かすのに全力を出しているのにも関わらず全く動かすことができなかった。
「なんで…どうして…く、くそぉ」
石はびくともしない。丸澤圭一郎は自分の非力に情けなさでいっぱいだった。上着を脱ぎネクタイを外した時にあることを閃いた。なるほどねぇ、ははぁん。石を動かすのも恋愛も同じだ!こういう諺がある。
「押してダメなら引いてみろ。それでもダメなら持ち上げろ」
動かなかった。そもそも丸澤圭一郎には彼女がいなかった。腹が立ったので石を思い切り蹴った。動かない。むしろ足に鋭い痛みが走り悲鳴を上げた。
ブゥーン…ブゥーン…携帯が振動する。
「ふぁい!」
「ふぁい?ちょっと大丈夫ですか?」
大野陽太からだった。救世主現るだ。
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