遺体なき殺人7
証拠は納骨堂にあり
容疑者に目星がついたものの肝心の伴蔵が見つからない。しかしながら菅原刑事の聞き込みから火葬場に何か秘密があるに違いない。捜査陣は色めき立ちました。火葬場には納骨堂があり、通常火葬した引き取り手のない遺骨はそこに入れられます。
納骨堂は八幡神社裏山の谷間にありました。捜査陣はそこへ向かい扉を開けました。
幅1.8m、深さ3mの広さの骨穴を覗くと大正14年の建立以来9年の間に放り込まれた無縁仏の骨が半ばまで埋め尽くされていました。さらに地中から湧き出た水が鼻をつく悪臭を放っていました。
捜査陣は顔をしかめながら悪臭をかき分け骨穴を調べると上辺にひと際白く大きい頭蓋骨と大腿骨らしき骨が見つけました。骨は風化しておらず最近のもののようでした。署では伴蔵が行方不明になってから現在まで火葬に付した家庭を調べ、その全てが無縁仏ではなく家庭で引き取っていることは捜査済みです。ついに重要な証拠を見つけたのです。捜査陣はこの頭蓋骨と大腿骨を回収し、東北帝国大学の石川博士に性別、年齢、骨が火葬された時期の調査を依頼しました。