シェア
カリガ
2017年7月2日 00:54
石引町の暗い路地を抜けると儀洋風の小さな建物がある。「日進堂」という摩訶不思議な古物を扱う店だ。古びた木の扉を開けると店内に金魚がフワフワと遊泳している。ガラスの鉢には光源不明の石からぼんやりと淡い光が発光していた。ここは世界のどこでもない場所だった。私は入り口でぼんやりとその光景を眺めるしかなかった。「先月、東北へ旅行に行ったんだけどね」店の奥から若い女性の声がした。私は正気に戻り店内奥