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カリガ
2022年7月18日 00:30
夏が始まり、ムッとする湿気が絡みついてくる随分不快な季節だった。私は千鶴さんの家に郵便を届けにバイクを走らせていた。彼女の自宅兼店へたどり着くには山奥の細い道を何度もクネクネ走らせる必要があった。道は昨日の雨でぬかるんでいたし、雑草は生気を取り戻したように大きくなりつつあった。千鶴さんの家に着くと車が1台停まっていた「珍しいな」と呟きポストに湯便を入れようとすると玄関の扉が開いた。「あ、こ