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カリガ
2020年3月24日 00:43
「それで、本物の本はどうしたんですか?」「処分しました。ある意味ものすごく危険なものですから」優弥さんは一目見たかったなぁと呟いていましたが致し方無いことです。私は優弥さんに全てをお話して胸のつかえが取れました。「帰りましょうか。今日はありがとうございました。優弥さんがそばにいてくれて心強かったです」電車の時刻が近づいてきたので店を出ました。日が沈み冷たい夜風が喫茶店の窓をガタガタ
2020年3月6日 22:21
私は当初からこの未完の本が何が何でも欲しいということに違和感がありました。当然ですよね。未完のモノをコレクションしている風変わりな人はいるかもしれませんが、聞いたことがありません。それで考えました。この本にどんな魅力があるのか。まず一つはこの本の作者が高名な人であること。でも、この本の作者がわかる痕跡は見当たりません。私も作者は不明とサイトに書きました。二つ目はこの本に何か秘密がある。もっ
2020年3月1日 20:53
「あっ喫茶店があります。優弥さんコーヒー飲んでいきませんか?」駅前まで無言で歩いていたのに急に千鶴さんは嬉しそうに声を弾ませた。「ええ、いいですね」千鶴さんが落ち込んでいなくてよかった。私は安堵して喫茶店のドアを開けた。店内は薄暗かった。店主が疲れた声で「いらっしゃいませ」と言った。私たちは席に着くとそれぞれコーヒーを頼んだ。「無事に終わってよかったです」「なんだか…残念で