2.料理は服の組み合わせと似ている
料理が好きだと言ったら信じてもらえるだろうか。これまで、わたしは周りに料理が好きだと公言したことはないと思う。
そう言ったら、さぞかしおいしい料理を出してくれるんだろうな、とか、毎日手間暇かけて凝った料理を作っているんだろうな、とか勘違いされてしまいそうからだ。そうではない。
このエッセイは、自分が毎日何を思い考えているかを自分で知るため、そして友人・知人への近況報告も兼ねて書いている。
日々の過ぎていってしまう小さなことをすくって、自分という棚にはなにが収まっているのか、棚おろしの意味をこめて綴りたい。
料理の何が好きかというと、食材を組み合わせることだ。
ひとり暮らしを始めて、自分で料理をするようになった頃、これは服のコーディネートと似ているなと思った。
服装を選ぶ時、今日はこのスカートをはきたいから、トップスはこの形の・この色にしよう、くつは、バッグは……と、主役にするものを決めて、それに合わせるもので全体のバランスを取っていく。
料理も、今日はダイコンをたくさん使いたいからこれに豚バラを合わせるか、とか、ニンジンがあるからたらこと合わせるか、とか。
一品の中での食材合わせだけでなく、生姜焼きが食べたいから、副菜は酢を多めのサラダでさっぱりしよう、とか、主食は焼き魚であっさりしているから、副菜のサラダは青菜にちくわを入れてボリュームをだし、味付けはマヨネーズ系にしてみるか、とか。
そんなことで、その日のお腹の空き具合や気分を満たすことに小さな達成感を感じているのだ。
最近、食材の組み合わせに関して良い本に出会った。『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』小竹貴子著 だ。
さまざまな料理のコツが書かれているが、参考になったのがサラダの項目。
まず味付けは「オイル1:酢1:塩分か甘味少々」を丸暗記すること、そしてこの甘味にフルーツを使うとおいしくおしゃれで、人気のレストランでも取り入れられているとのことだ。
本のレシピ例では、かぶとキウイを組み合わせ、黒い器に盛り付けた写真が掲載されていた。
「うわあ…」と思った。
こんなに自由に組み合わせられるんだ、そして黒い器に盛ると映えるなぁ、という感動の「うわあ」だ。
日々の料理、しかもサラダなんてお決まりのパターンだし、見た目なんてあまり考えていなかった。フルーツを使ってもいいんだーと、自分の枠が取っ払われたのだった。
(もうひとつ紹介されていた、桃とモッツァレラチーズのサラダをつくってみた。ピンク×白×器の青が気に入っている。)
毎日なにかを口にするので、料理は誰にとっても身近なことだと思うが、「料理が好き」というのはなんとなく言えていなかった。これからも、好きではあるが積極的に口にはできない気がしている。
とりあえず、面白い食材の組み合わせ、一緒に出す一品とのバランス、そして見た目もちょっと頭に入れて、色々なレシピを試してみたいという具合だろうか…。
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