想像以上に面白すぎた経営ゲーム「ドラえもんのどら焼き屋さん物語」
いくつもの経営シミュレーションゲームを開発しているカイロソフトから、ニンテンドースイッチ向けのドラえもんのゲーム「ドラえもんのどら焼き屋さん物語」が出ました。
カイロソフトのゲームで遊ぶのは初めてで、ドラえもんについても人並みの知識しかないのですが、作り込みがすごすぎて最初から最後までずっと楽しめました。そしてめっちゃ和菓子が食べたくなる。
経営シミュレーション初心者でも遊びやすい本作の特徴は、あふれでる藤子・F・不二雄先生への愛です(笑)。タイトルに、ドラえもんとどら焼き屋とあるのですが、F先生のキャラが有名作品から短編作品まで大量に登場するほか、かき氷や大福など幅広い和菓子を開発したり、映画館や巨神像を建設したりなど、タイトルを大きく飛び越えた大ボリュームになっています。
ドラえもん(F先生)マニアもうなるレベルの小ネタが満載なのですが、自分が気づけていないネタもたくさんありそうです。
例えば、ロード画面中に、ジャイアンがツチノコを持っているシーンが出てくるのですが、それがゲームを進める上でのヒントになっていました。原作を知らなくても、そういった何気ない情報をもとにストーリーを進めることができます。
あと、ジャイアンが公園でリサイタルを開くと、店の評判が一時的に落ちるのですが、お客さんが混乱して商品をいつもより多く買ってくれたりします(笑)。
最初、ドラえもんのキャラしか登場しないと思っていたので、「カンビュセスの籤」や「ミノタウロスの皿」など短編作品のキャラが登場してきてびっくりしましたし、アイテムとして「ミートキューブ」が登場したり、「コールドスリープ部屋」を建設できたりと、元作品を知っているとゾッとすると共にテンションが上がります。
一方で、知らない作品がたくさん出てくるのですが、キャラのセリフや登場するアイテムなどからさりげなくその作品の世界観が伝わってくるので、原作を読んでみたい!となります。
直接そのキャラと触れ合う中で興味を持つというのは、ゲームという媒体ならではの体験ですね。セリフやテキストがコミカルかつシュールで、ドット絵と相まってクスッと笑える内容になっています。
「チンプイ」「21エモン」「ウメ星デンカ」「中年スーパーマン 佐江内氏」「ヒョンヒョロ」「征地球論」など知らなかったので、読んでみたいと思います。
そして、経営シミュレーションだけれどストーリーもしっかりあります。あらすじとしては、どら焼き屋さんのおじいさんがけがをしてしまったので、ドラえもんたちが代わりにお店を経営するという話なのですが、実はおじいさんは〇〇〇で、しかも〇〇〇で…という感じで、しっかりSFになっています(笑)。
箱庭型の経営シミュレーションは、子どもの時にプレイステーションの「テーマパーク」(エレクトロニック・アーツ)にハマっていたのですが、こちらはもっと内容がシビアでした。
名前の通り、テーマパークを経営するのですが、海外の会社が作っていたので、アトラクションのデザインなど色々なところが海外仕様。お客さんは不満があるとすぐブーイングしてきます(笑)。
テーマパーク全体を見渡して、細かくケアする必要もありました。
例えば、アトラクションは経年劣化するので、定期的に修理が必要で、放置すると爆発してお客さんが吹っ飛んで評判が落ちます(笑)。ポテト屋のポテトの塩分を増やすと、ドリンクの売上が上がりますが、ポテト屋の評判が落ちます。テーマパークが繁盛すると、治安が悪くなり、ごみも増えるので、警備員や清掃員を雇う必要があります。
また、アトラクションの待ち時間が増えると、お客さんが退屈するので、マスコットを雇ったり、待機列の導線を工夫したりと、子供心に経営の大変さを学びました。
自分が作ったテーマパークをお客さん視点(クォータービューではなく、お客さんとしての主観)で眺められるモードがあったのが新鮮でした。UIは悪かった記憶ですが(笑)、あまり国内ゲーでそういう機能はないので、海外ゲーならではだなと思いました。
ドラえもんのゲームでは、ここまで細かい経営は求められないし、金欠も起きにくいので、サクサク進められました。かといって歯ごたえがないわけでもなく、食材の調達やお菓子作り、和菓子コンテストなど、飽きないための要素がふんだんに散りばめられています。
カイロソフトは、26人ほどの会社のようで(サイトも面白い、ドット絵がかわいい)、社長はあまりインタビューに出てこないのですが、数少ない記事から感じられるのは、ゲーム作り(とF先生)への情熱とこだわりでした。
下記のファミ通の記事では、応接室の写真にファミコン版ドラえもんなどが写っていました(笑)。カイロソフトの社長は、こち亀が好きで、漫画の内容がゲームのネタとしても活用できるそうです。こち亀面白いですもんね。こち亀の経営シミュレーション出ないかな?そんなことを考えました。
・カイロソフトのインタビュー記事