原作未プレイ、アニメ視聴組の「STEINS;GATE ELITE」プレイ感想
半額セール中だったので、Switch版の「STEINS;GATE ELITE」を購入しプレイ、やめどきがわからず一気にクリア。ついでにスピンオフの「STEINS;GATE ダイバージェンシズ アソート」と、25%オフだったTYPE-MOONの「月姫 -A piece of blue glass moon-」も購入してしまい、毎日がねむい。
シュタゲはアニメを視聴しているが、原作は未プレイ。なので、アニメで省略されていたストーリーを補完できて大満足。本作「ELITE」(再構築)は、フルアニメADVを謳っており、文字送りのオート機能を使えばまるでアニメを見ているかのようにゲームが進む。ここが賛否両論あるらしく、全編フルアニメになったことでADVが持つ小説っぽさが失われた、ほぼアニメを見ているだけで選択肢があまりないのでゲーム性がない、など原作ファンからは批判的な声もあるようだ。
だが、アニメ視聴組としてはTVアニメの延長線上で各キャラのルートの新規アニメを堪能できたし、物語の要所で登場人物たちの運命を決める重大な決断を行えることはゲームならではの体験だった。TVアニメはトゥルーエンドに向かって一直線に話が進んでいくので、その過程で「あり得たかもしれない世界」は切り捨てられる。マルチEDのADV原作のアニメにハマったら、やはり原作はプレイしておきたいと感じた。
ここから中身の話で、少々ネタバレも入る。シュタゲは2009年に発売されたソフトだ。「想定科学アドベンチャー」と銘打っているように、科学要素の解説が多く、SF好きに刺さる。そして秋葉原を舞台に、中二病の主人公・岡部倫太郎とその仲間たちによってオタク的なノリがノリノリで繰り広げられる。時代性のある言葉を使うと作品が古く見えてしまう懸念があるが、「キタコレ」「今北産業」「kwsk」などを見ても不思議とそこまで古く感じないというか、2022年でも生きている用語があるんじゃないか、と思った。それぞれのキャラが立っていて、「だが男だ!」など、何となく声に出して読みたい日本語的な勢いと軽快さがある。
シナリオは一言でいうと名作だ。タイムリープものは観測者が孤独と絶望をどう乗り越え希望をつかみとっていくかが重要な要素になるが、本作では観測者である岡部倫太郎以外も別の世界線がおぼろげながら残っている点や、何度も繰り返しすループが無駄にはならずに最後の希望につながっていく点、最後に主人公が中二キャラ・鳳凰院凶真として覚醒する場面など、後半一気に伏線が回収され怒涛の展開となる。
過去へメールを送れる「Dメール」を送るか、送らないかの選択によって各キャラの運命が大きく変わってしまうシステムも感情移入や没入感を高めてくれる。物語的に「正しい」とされる世界線にいくには、改変された過去を元に戻すためにもう一度タイムリープして別の内容でDメールを送る必要がある。しかし、それを送ることで、生き返ったはずの父親が死亡したままになったり、女性になれたキャラの性別が男性に戻ったりと、そのキャラにとっては幸せな世界線は壊れてしまう。アニメではこうしたキャラごとの「正しい」世界線にいくことはできないので、全EDを見ることで作品への理解もより深まる。ラストに秋葉原の街で岡部倫太郎と牧瀬紅莉栖がすれ違うシーンも切ない。
そして、OPとEDもかっこいい。真EDに行く前のエンドロールの特殊演出も熱かったし、音楽もとてもよい。次はシュタゲゼロなどをやっていきたい。