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五行論『脾』

今年も豪雨のニュースをよく見ます。
漢方では、天候と体調は影響し合うと考えられていますが、6月、7月の梅雨時期の湿気によって最も影響を受けやすいのが胃腸です。
食欲がでない、もたれるなどの症状が出やすくなり、手足の浮腫を生じやすく、身体が重だるく感じられます。
湿気により食物の消化力が落ちると、十分なエネルギーが補給されず、疲れやすくもなります。

そこで今月は漢方の五行説"土ー脾"についてお話しします。

大まかに言うと脾には『食べ物や飲み物から得た栄養で、"気"、"血"、"水"をつくり出し、全身に供給する』はたらきがあります。また、『老廃物を体外に排出する』のも脾の役割です。

6月21日は夏至。陽の気が最も多くなりますが、高温多湿の日本では、暑さよりも湿気が不快に感じる季節です。
湿気が多いと、例えば「プールの中を歩いている」ように、動きが鈍くなり、エネルギーである『気』を消耗しやすくなります。
そして身体だけでなく、湿気は心にも影響を与えると考えられていますので、気が晴れなかったり、思い悩み、落ち込みやすくなる傾向があります。

体質的に「脾」(胃腸)が弱い人もいますが、現代のストレス社会では、「肝」(自律神経)の乱れから、「脾」の乱れを招くケースも少なくありません。
例)ストレスが溜まってイライラする→過食気味になって甘いものを沢山食べる→過剰な糖や脂が吸収できずにもたれる→便秘や口内炎などの症状につながる→ちゃんとした栄養を摂っていないので「気血」が造られずエネルギー不足=疲れる。
悪循環です。

この季節の食養生のポイントはなるべく生もの(特に刺し身など)は多食せず、さらに冷たい飲み物や糖と脂のミックスは避けることが大切です。
胃の弱い方は意識して消化がよいもの、温かいものを選ぶようにしましょう。
むくみなどが気になる方はトウガン、ハトムギ、小豆などの利尿作用のあるものがお薦めですが、体を冷やす涼性のものが多いのでショウガや少量の唐辛子など香辛料を一緒に取るとよいでしょう。
また、ニンニクやタマネギ、ネギ、ニラなどには殺菌作用があるので、この時期にかかりやすい食中毒予防のためにもおすすめです。

漢方では、"次の季節を快適に過ごすために行う今の養生"がとても大切です。夏バテしないためにも、日頃からお腹の調子を整えておきましょうね。

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