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ゆでまんじゅう(東京都小平市)

原材料:小麦粉、小豆、砂糖
製造:小平市在住のまんじゅう名人
販売:なし

まんじゅうはコンビニでも買える、都市生活者にとっても気軽に購入できる身近な和菓子だ。
皮は膨らし粉が入った小麦粉、中のあんこは小豆で、ふっくらした蒸したものが一般的によく見かけるタイプだと思う。

小平の郷土菓子…というほどあまりメジャーではないのだけど「ゆでまんじゅう」がある。小平でも地域によっては「むしまんじゅう」と呼ぶところもある。写真は「むしまんじゅう」。作ってくださった梅室さんはそうおっしゃっていた。この話では「ゆでまんじゅう」とする。

主にお盆やお彼岸の時に作るそうだ。
このゆでまんじゅう、いたってシンプル。
小麦粉を熱湯でねり、小豆のあんを包み、沸騰した湯で茹でる。以上。

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お味の方も、いたって素朴。
小麦粉の皮のちょっとかための食感と、小豆の素材の味が滋味溢れるおいしさ。
あまりにも素朴なので、長野のおやきにも似ているし、サツマイモを入れたら熊本のいきなりだんごにも似てるし、まだまだ他にもアジア各地に似たものが存在しそうだ。
勝手な感想をつらつらと書いているけど、自分の祖母達が作っていたゆでまんじゅうが、こんなに素朴なものだったことが嬉しい。まるでアジアの少数民族の食卓にも上がりそうだからだ。土着的な料理への安心感は、大地に近い生活を舌で感じられるからなのかもしれない、幻想かもしれないけれど。

1997年に録音された、小平のおばあちゃん達にインタビューしたテープをお借りする機会に恵まれた。実際にゆでまんじゅうを作っている様子を録音したもので、皮のまとめ方やあんの包み方など、細かいところにゆでまんじゅう名人のコツがあると話している。話者は明治生まれの方が中心で、みなさん元気で笑い声は高く響きイヤホンで聞く私の耳を突き破りそう。テープ音源のデータ化も同時進行しているが、そのイコライザーの目盛もMAXを超えるほど。

今日は8月16日、全国的にはおおよそお盆の終盤の時期。小平のお盆は8月1日と決まっている。農閑期に合わせたのだろうか。
ほとんどの方がこの世にいないおばあちゃん達のお喋りのテープを聴きながら過ごすお盆。「昔のことは話したくないのよ。みんな戦争でどうかしちゃったでしょう、私がハタチぐらいの時だったし。つらかった時のことを思い出したくないのよ」と語る方もいた。
再生ボタンを押すと、声が蘇るって、すごい。おろしちゃってる私はイタコなの?(いやそれは違う)。アライブ。
世の中には数多の音源が存在するけど、私たちは音源に触れるたびに知らず識らずのうちに未来から過去へ、過去から未来へとタイムスリップしているのかもしれない。お盆時期は少し気持ちが落ち込むこともあるけど、それは悲しみも喜びもみんな深いところで共有している海のようなのものだから、そういうものだと受け止めている。

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大石慶子
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