… 嫌われるのなんてへっちゃらだったのに
「あなたの言葉や態度から、私への敵意は伝わってきています。わかっていますよ。もうやめましょう、これ以上お話しするのは。」
かなり時間も経ったので、ここらで一度振り返ってみようと思う。
冒頭の言葉を言われ、自分でもびっくりするくらい激しく動揺してしまった。
「え、俺の態度や言葉のどこに敵意があるというの?」
「むしろ興味津々で、いろんなこと聞かせて欲しい! って思いしかないんだけど。」
「おれ、なにか彼女の気持ちを逆撫でするようなこと言ってしまったかな…」
頭の中を駆け巡っていたのはそんなことたち。でも必死に笑顔を保ちつつ、ゆるい調子で言い続けていた。
「えー! どうしてそんなふうに思うんですか? 完全に誤解ですよ。だって敵意なんて、本当にこれっぽっちも感じていませんもん」
結局、おれが何をどれだけ言おうと、いやむしろ言えば言うほど、彼女は身振り手振りと言葉で「私のこと敵だと思っているでしょ!」と、「完全拒否」をさらに露わにしていくだけだった。
おれは見た目のクセが強い人間なので、それで嫌がられるのはもちろんしょうがない。そしてまた、おれの図々しさや嫌らしさを感じ、おれのことを嫌がるのもしょうがない、それはそれで構わないと思っている。
でも、話し始めてすぐに「嫌な奴」だ思われないようにすることはできる、なんなら計算高く、「第一印象を良くすることができる人」のつもりでいた。自信もあった(逆に「1分でサイコーに嫌な奴になる」こともできる自信もあるが)。
だがその日、その場所で、「えーそうなんですか! すごい興味があります。どういう活動が中軸なんですか?」という、おれの心の底そこから出てきた質問に、その人は顔色を曇らせたのだ。
…こうして振り返ると、1つ2つ「これが理由という可能性はあり得るかもな」と思い当たる節も浮かんできた。
だが、かなり自分に対して厳し目に考えても、それを持って「あなたは私に絶対的敵意を持っている!」と弁解の余地を与えないほど断定するようなことではない。はずだ。
うーん。。。
「しばらく経っても心から消えてくれないようなら、言語化しよう。」
そう思ってずいぶん時間が経った。そして今これを書いている。
書きながらわかったのは、おれが自分でもいまだにとても悲しんでいるってこと。そしてショックを受けているってことだ。
怒りもちょこっとだけある。腑に落ちなさもちょこっとだけある。でもそんなものより遥かに、「全力で敵意を向けられたこと」と「相互理解の諸にすらまったく付けなかったこと」が、今もショックだし悲しい…。悲しいしショック。。。
…昔は嫌われるのなんて慣れっこだったし、へっちゃらだったんだけどな。
仲良くなって、もっといろんな話を聞いてみたかったな。