おれはどっちが悪いのかなんて興味ないんだよ
かなり…そうだな、多分80代後半かな。それくらいのおじいさんたち2人が、道路にもんどりうって掴み合ってて。
近くに行って「なあ。その辺りで止めておいたらどうだい。警察も病院も、どっちも行きたい場所じゃないだろう?」って声をかけて。
そこでスッと終わる…ってことはやっぱりなくて、まあなんだかんだと3分くらいかな、声をかけ続けて話をして、「とりあえずその掴み合ってる手を離しなよ、2人とも。おれだって、こんな暑い中で2人を力づくで離すようなことはしたくないし、なんかの弾みでおれまで一緒に警察やら病院について行かされるのはゴメンだからさ。」って言って。
それでようやく2人が掴み合いを止めて。
「こいつが道の真ん中をなんとかかんとか」って1人が言い出して。そしたらもう1人が「注意したら掴みかかってきたからなんとかかんとか」って。
「おれはどっちが悪いのかなんて興味ないんだよ。申し訳ないけど。でももう十分でしょ? この暑さだし、世の中もみんなもイライラしてるし、なんだかアタマに来ることが多いよね。まあでも、少しは気が済んだろ。もういいだろ、終わりにしようよ」って。
まあそれで、一応2人は離れて、2人共自分の自転車を起こして。「2人とも普通に動ける? どっかやっちまったところはない?」って聞いたら、「大丈夫」って。
それでおれとカミさんは2人と別れて、目的地のスーパーにまた歩き出したんだけど、「さっきはありがとう」って3分くらいしたところで後ろから声かけられて。さっきのおじいさんの1人に。
「いいえ。暑いから気をつけてね」って応えたら、片手上げてスーッと自転車こいでったよ。
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