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「受験なんて関係ない」と威勢よく叫ぶ「無意識の特権者」だったおれ

「受験なんてどうでもいい! やりたいことがはっきり見えているのなら、受験だの進学だの無視すればいい!」と昔からずっと言ってきた。大筋では、今もこの意見のままで変わっていない。

ただ、ここ数年で少し変わったところもあって。それは、そう言うべきではない相手もいるという風に考えるようになったということ。「受験なんて関係ない」と威勢よく言えていたおれは、「労なくして得られる優位性」を手にしていた「無意識の特権者」だということに気づいたからだ。


おれは、どちらかと言えば裕福ではない家で育った。成人するまで親父は家にいたりいなかったりで、幼稚園から高校までいつでもずっと学校で1番の問題児で、いろんなところでトラブルばっかり起こしていた。
それでも、「恵まれている」とは思うことはなかったけれど、「自分が不利な立場にいる」と思ったこともなかった。金持ちの家を羨んだり、もっと酷い状況の家の子に優越感を抱いたり(…醜い。でも、実際そうだったのだから仕方がない…)したことはあった。でも、社会そのものを憎悪し破壊し尽くしてやろうと思うことはなかったし、「まあ自分でサバイブしていくしかないよな」と思えていた。
そして実際、どうにか高校は「卒業扱い」となり、こうにかサバイブしてきた感はある。

だがしかし、存在そのものが歓迎されなかったりヘイトにあったり、本人にはどうにもできないことを理由に遠巻きにされたり蔑まされたりするという、日常の中に屈辱的な思いを埋め込まれ、それに毎日対峙して暮らさなきゃならない人もこの国にはいる。
そんな彼らには、身を守る術が必要なのだ。そしてこの国では、多くの場合、学歴が彼らの身を守ってくれる。彼らがこの国でどうにか「サバイブ」するために、受験して、高卒なり大卒なりの学歴を手に入れられる機会があるなら、絶対にそうした方がいい。
「同じ人間だ!」という「言うまでもないこと」を言い、聞く耳をもたせ、他の人たちと同じスタート地点に立つために、学歴というものを使わなければならない人もいるのがこの社会だ。

だから、そんな状況にいる彼らには、「ひとまず今は、この後長きにわたって君を護り、ときに武器にもなってくれる学歴をというものを手に入れておけ。なりふり構わず、どんな手段を使ってもいいから手に入れろ。」と言いたい。そしておれが役に立てる場面では、しっかりと役に立ちたい。
「受験なんて関係ない!」「FxxK! 学歴社会」と言う仲間たちよ。どうか、そんなことも意識して欲しい。

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