あなたと私は同じだと思うことこそが愛
コロナも私の日常3-97
97日目 9月30日(木)
日記を書こう書こうと思っている間に、気がつけば9月も終わりを迎えてしまって、私はまだ22歳の平社員である。
最近ハマっているインベスターZを夢中で読み、そろそろ寝るかと布団に入る深夜1時半。
最近は自分のダメさ加減をひしひしと痛感することが多くて、人生嫌になっちゃうなあとひとり涙することがある。鬱にでもなってしまいかねないと日々思っている。今日は元気な日だけど。こうやって自分に矢印が向きすぎると精神を病むのだなあと身をもって実感している。
布団の中で、隣にいる母が話しかけてくる。もう寝たいのにと思いつつ耳を傾けるなどしてみる。こう言う時の母の話は大体有益だ。
「ママも、ハタチまではごく普通の平凡な人だったのよ」
暗闇の中で語り始める母の顔は、一体どんな表情をしているのだろう。
「でも、ある日、愛する人との愛を知った時、急に光に包まれたの。アレ!?わたし、光になってる?!って。私は光で、愛する人も光で、一緒になったの。そんな感じで光に包まれて、周りのものも全て光で、私は光の中で愛する人やあらゆる物全てと同化した。
それで気がついたの。ああ、全部同じだったんだなあって。あなたも私も同じだったんだあって。愛ってそう言うことだって、知ったの。本とかを読んで知識として知っているんじゃなくて、体感して、知ったの。
光の中であらゆるものと繋がって、その時から、あらゆる答えが天から降ってくるようになったの。DNAが覚醒したみたいに、全く勉強したことのないような問題もスラスラ解けるようになって、本だってすごく読むのが遅かったのにパラパラ〜ってめくっただけで全部内容が頭に入るようになった。疑問に思ったことはすぐに頭の中に答えがフッと降りてきた。大学生の時に書いた論文も、引用なんて一切要らなかった。だって自分の中に答えがあるんだもん、人のものの何を引用しろと言うの?オリジナリティが一つもない論文なんて読んでも何も面白くない。それでA++も取ったよ。
その時、あ、自分は銅管みたいなものなんだと知ったの。頭で考えていると思っていたけど、そうじゃなくて、あらゆるソースと繋がっていれば、天から答えが降ってくる。私はその通り道。つまり銅管。天才とかって呼ばれるようになったのはこの頃。
だから私は、いわゆる悟りを開いちゃったのね。あらゆるものと繋がったから、ブッダの言うこととかすごく腑に落ちる。それは経験して、知っているから。たくさん本を読むのは、自分の中の答えが合っているのかなって確かめるためだし、同じような体験をした人がいないかなって物凄く調べた。だからその本質と違うことを言っている人は、私にはすぐわかるの。自分の中に答えがあるって知っているから、絶対的な自信がある。揺るがない、確固たる軸がある。誰に何を言われても、自分の意見を伝えられるよ」
今までも何回か聞いたことがあったけど、すごいなあと言う感情と共に、なぜか涙が出た。スピリチュアルとか、そんな薄っぺらい言葉で表していいものではないような気がした。
「つまり何が言いたいかっていうと、愛が全てなの。別に恋愛とかそういうのじゃない。愛の対象なんて誰でも何でもいいの。恋人でも夫婦でも友達でも親でも動物でも何でも。じゃあ愛ってなにって、本当はあなたも、私も、みんな同じだってこと。
あなたも私も同じなんだって思うことこそが愛なのよ。
人ってよく「あなたと私は違う」って言うじゃない。別れたお父さんもそうだった、お前と俺は違う!っていつも言ってた。私は、そんなの全然愛じゃないって知ってた。だから嫌だったの、それでよく喧嘩しちゃった。ごめんね。
だからママもあなたに、愛を知ってもらいたい。そのためには、日々愛を与え続けるしかないと思ってる。あなたもどこかで、ママと私は違う!って思ってるんじゃない?」
そっと頷く。
「そんな悲しい人にならないで。そうじゃなくて、同じだと思ってごらん。ママの愛を素直に受け入れてごらん。きっとママみたいになるよ」
「私の霊感ある友達も、ママとあなたの魂はすごく似てるね!って言ってた。でも全然性格とか違うよ?って言ったら、だって一緒にいて全然苦じゃないでしょ?って。全然違うと思っても、実は似てるんだね〜人ってそんな感じ」
私はなぜか次から次へと涙が溢れてしまって、ひっそりと枕で涙を拭く。なるほど、私とあなたは同じだと思うことこそが愛、か。思えば私は、親も彼女も友達も違うことばっかりに目を向けていたかもしれない。
私はこの話を、色んな人に伝えていかなければいけないと思った。こんな話ができる母を持っている人は世界中でどれくらいいる?ものすごい講義を聞いてしまったと思う。私は、こういう話を、色んな人に伝えていく使命があると思った。言葉にならないこの感動を言葉にしていく使命があると思った。
でも言葉はいつも、私の周りをすり抜けて流れていってしまう。もっと自分の中に言葉を集めて、自分のものにしていかない限りは、永遠に母の物語を私は書けないような気がする。それでも、それでも。拙くても、流れていかないうちに物語を紡いでしまいたい。
ああ。今日も生きている。
おはよう。