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補聴器がメガネになる日まで

補聴器とメガネというのは同じような立ち位置の道具ですが、社会的な地位は天と地ほどの差があります。
触れちゃいけない感の空気を醸し出される補聴器に対してメガネさんはなんと萌え要素にもなっております。
難聴児の親としては悔しくて仕方ありません。
なぜこんなことになっているのかちょっと考えてみたいと思います。

見かける頻度

まずは補聴器です。

日本と海外主要国の自己申告による難聴者の補聴器使用率(JapTrak2015より)
日本 13.5%(自己申告による難聴者人口から換算すると約193万人)

https://kikoe.ne.jp/choice/pst_choose_penetration.php

日本で補聴器は使っている人は1.5%ほどになるようです。
次にメガネです。

株式会社プラネットが実施した調査によると、普段の生活で「メガネを使用」している人は57.5%で、「コンタクトレンズと使い分け」を加えると74.2%がメガネを使用していることになります。

「メガネ使用率」1位の県は?メガネに平均いくらお金をかけてるの?

メガネは57%だそうです。
メガネ57%に対して補聴器1.5%
人間よく見かけるものに対して親しみを覚えるわけですが、57%もあると親のどちらかはメガネなわけです。
そうすると当然メガネは自然な存在ですよね。
まあシンプルに過半数ですもんね。そういう私もメガネですし。
一方補聴器は1.5%ということで思ったよりも多い気もしますが、それでもメガネと比べると圧倒的に見かける機会が少なくなります。
補聴器は耳の後ろだったり耳の中だったりで気付かないことも多そうですしね。
補聴器とメガネの違いはその見かける頻度に大きな関係がありそうです。

歴史

メガネと補聴器のイメージの違いには発明されてから現在までの歴史も影響がありそうです。
まずメガネです。

13世紀のイタリアで眼鏡が発明されることになった

眼鏡 -  wikipedia

13世紀からあるんですね。なんかもうオシャレな雰囲気がしております。

中世ヨーロッパにおいて、眼鏡は知識と教養の象徴であり、聖人の肖像には、たとえ眼鏡発明以前の人物であっても、眼鏡がしばしば描き入れられた

眼鏡 -  wikipedia

ほんとうにオシャレアイテムだったんですね…

学識とか識字能力の持ち主、あるいは当代の実力者であることの証と考えられていたのであろう

眼鏡 -  wikipedia

メガネが発明された当初は誰にでも手に入るものではなく、メガネ付けてる=すごい!かっこいい!だったんですね。
一方、補聴器はどうでしょうか。

耳に取り付ける集音器のような原始的な補聴器は17世紀にはすでに製造されていた。
電気的な信号増幅を行う現代的な補聴器は、19世紀に発明された電話機の派生物である。

補聴器の歴史-wikipedia

今のイメージの補聴器としては19世紀からになりますね。
メガネより600年も歴史が短いんですね。

補聴器に頼るのは恥ずかしいことだという社会通念があったことから、小型化は携帯性の面だけでなく使用を隠せる点で需要が高かったのである

補聴器の歴史-wikipedia

なんということでしょう。補聴器は恥ずかしいものだったそうです。
そのおかげでどんどん小型になっていった面はあるようですが、このメガネ=オシャレで補聴器=恥ずかしいってこの差はなんなんでしょうね?

「弁当箱」という愛称がつけられた第1号モデルは名前の通りやや大きく〜

補聴器の歴史-wikipedia

まあ弁当箱サイズはちょっと気にしてしまうかな…
弁当箱はやや大きく〜じゃないけどな…

メガネと補聴器に対するイメージの違いはどこから来ているか

ここまでである程度原因がわかったのでまとめたいと思います。

①メガネは家族の誰かはかけており、みんな小さい頃から見ていて馴染みがある。
補聴器は馴染みがない。

②メガネは発明時からオシャレアイテムであり、オシャレアイテムかつ医療器具として700年以上の歴史がある。補聴器の100年ちょっとの歴史は『でかいダサい』から始まっておりオシャレという認識をされたことはまだない。

③メガネはその歴史の長さやイメージの良さから、偉人や有名人などメガネをかけている人物が数多くいる。
一方、補聴器をしている偉人や有名人の写真を見る機会はない。

④メガネはその利用者の多さから多くのブランドと店舗がありデザインも多岐にわたる。補聴器はメーカーも限られておりデザインもそこまで選択肢は多くない。

以上、こういった理由で補聴器とメガネのイメージの差が生まれているのではないでしょうか。
補聴器は発明され小型化が進み、ようやくスタートラインに立ったところです。
これからメガネのような存在に近づいていくことでしょう。
補聴器をつけた有名人はこれからもっと出てくると思います。
そういった人を見て育った世代が大人になれば、補聴器はメガネのような扱いをされる世の中になるのかも知れません。
メガネいじりならぬ補聴器いじりも付いてきますので、いじりのうまい返し方も考えておいて下さい。

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